伝えたいことの熱量で最優秀賞に選ばれました。絵描きのこころを丁寧に表現していました。絵本としては32ページに削って「この世界」を描く事でより洗練されると感じました。

作者自身の創作やコミュニケーションの悩みがベースとなっているような、今この時にしか表現できないだろうと思われる繊細さや切実さ、みずみずしさを絵と文の両方から感じました。特に、全面的に彩色するページと余白を残すページの使い分け、薄塗りの絵具による過不足のない描写に、作者の周到な構成力と的確な表現力を感じます。

ページ数の多さをそれほど感じさせないのは、ただ絵が上手いだけではなく、ストーリー運びの巧さがあるから。了輔さんには来年はぜひ、大人の部への応募を期待しています。

頁をめくると直ぐに滲み出るような濃淡の交錯した色鮮やかな世界に目を奪われました。色付きのおぼろな夢の世界に紛れ込んだような興奮を覚えました。主人公の自らの感じ方に素直になろうとする心情は、おそらく作者の求める心情でしょうが、それが背景の色彩と相まって憂い漂う繊細な世界を描き上げ、印象深く心に残りました。

受賞常連のプレッシャーを筋肉をつけて跳ね返しましたね、流石です。

圧倒的にパワフルな絵と爽快な内容に、作者の絵本に対する哲学ともいえるような並々ならぬ思いを感じました。彩度の高い色をふんだんに使い、明解に整理した形態と工夫をこらした細部を取り混ぜた絵は、全てのページに見どころがあります。

過去に最優秀賞・金賞を受賞してきた小山樹君の作品です。１頁ごとの完成度は群を抜いています。色彩豊かな背景に登場の動物たちの個性が鮮明に浮かび上がり、目が釘づけになります。惜しいのは、頁ごとの完成度が高く、全体がハイレベルなので話の流れとしての起伏が見えにくく、主張が強く響いてきません。その点の工夫を期待します。

生き物の伸びやかな表現は色も大きさも種属の壁さえも、ぽーんと乗り越えてすてき満開。

ダンゴムシのれみちゃんがおしゃれをして出かけ、トンボのパアルくんと出会うお話です。思うままに筆を動かし、明るい色で描かれた登場人物や背景の絵が、ストーリーを語っています。れみちゃんが「バー」と顔を出した場面は、審査員一同大絶賛でした。どのページにも額縁のように型押し模様が並べられ、絵を引き立てています。あずさちゃんが夢中になって絵本を作っている様子が伝わってきました。

楽しく仲の良い虫たちの世界が、橙、黄、緑を基調とした明るく落ち着いた色合いでよく表され、特に“パアルくん”を脅かす場面の“れみちゃん”の表情は鮮烈で思わず食い入るように見つめてしまいます。

鮎の造形の美しさに対する真面目な敬意を感じました。

本コンクールでは珍しく、ドキュメンタリー系の金賞受賞です。地元：岐阜の伝統産業を丹念に取材して、切り絵の技法も巧みに取り入れた鮎の紹介に、遥子さんの「岐阜愛」があふれ出ていました。読み物系が多い作品の中で、写実性の高さと観察眼の鋭さに感心した１冊です。

成長していく「あゆ」の特徴を様々な図案の紙を切り取り、貼り付けて印象深く表しています。その「あゆ」の鮮やかさに目が惹かれます。「あゆ」への作者の想いから長良川への愛着も伝わってきます。

絵が明るく跳ねていて魅力的。

紹介されるのはどれも瑛大くんの「本当の宝物」！どんぐりを「むりょうたいすう」集めたんだ！すごいなあ！これぞジュニアの部の作品です！

魚たちが友達と遊ぶ様子をスイスイと描いて魚たちの造形が見事。

あかい／ともだち／みんな／いっしょに／およぐよ／と、助詞のない言葉の連続が、心地よいリズムを生んでいます。青い海の中の赤い魚たちと、あぶくに包まれ水中に浮かんでいるような言葉の配置もステキです。

モチーフの構成、色遣いに洗練された個性を感じました。加えて、形のない音や声の表現、動物の造形にも見せ場があります。絵の力でぐいぐいと進行し、読者に想像の余地をやわらかく残す演出は、短編アニメーションで使われる手法のひとつに近いと思いました。

仲良く共に過ごす仲間たちとの穏やかな時間がゆったりと流れていました。

ペンギンたちが海水浴やバーベキューをして遊ぶお話です。園児ならではの発想力に脱帽！たくさんのペンギンも根気よく工夫して描きました。

ひっそりと咲くネジバナを見つめる視点は富山詩人の作でした。

凛くんの作品は「メッセージブック」という新しいジャンルを本コンクールに切り拓いてくれました。川こし先生は世界一幸せな先生だと羨ましいです。

ストーリーがもっと太くなればと思いつつも夜の動物たちのつややかな毛並みに票が入りました。

黒い紙に筆圧高く塗り込んだ色彩は、月光の薄明かりやしっとりとした草木の潤いをいきいきと感じさせ、その場に居合わせるような臨場感があります。白い文字が暗い色調の絵のアクセントにもなっていて、絵と字が一体となる、絵本ならではの魅力も感じました。

大きな絵本を開くと、みんなを乗せた紙飛行機が迫力いっぱいに飛び出します。地域のよさをぎっしり詰め込んだアイデアあふれるしかけ絵本になりました。

紙飛行機で空を飛ぶような、楽しくて浮き浮きして友だちと仲良く遊ぶ保育所での毎日が目に浮かび、思わず微笑みが浮かびます。