今年の最優秀賞は、シンプルな絵と枝葉を落とした最小の言葉を使ってすてきなラストシーンを届けてくれ『どっちでもいいよ』に決まりました。

余白を活かし、単純化されたワニのユーモラスなかたちと色彩は日本文化の間の空間に通じます。青ワニが意を得た場面では、余白にうっすらと色彩をのせ、一連の背景に変化を与えるなど計算された制作を行っています。併せて話の展開もしっかりとしていて完成度の高い作品です。2 度目の同賞受賞の栄冠に輝きました。

この2 点が完璧。音読して心地よく、絵と文が互いに高め合い、語り過ぎない。読み手が想像を膨らませるすき間がある。拓矢くんの絶妙なバランス感覚が見事栄冠を勝ち取りました！

ワニや背景の描き方のシンプルさに当初驚きましたが、頁をめくるつど、かえってその絵のシンプルさとムダのない端的な文章で的確にその場の状況を思い浮かべることができました。まさに「シンプル・イズ・ベスト」というべき好作品でした。

タイトルからよろこびが、はみだしてしまうほどの地元愛に満ちた作品。モノトーンと虹色でお話をつむぐアイデアが新潟の魅力を読み手にじわじわ伝えます。

無彩色の雪の季節に、虹色の羽を持つ鳥が花火を通して徐々に町に色彩をもたらし、自身が白いトキとなるファンタジーな話。郷土言葉を用いることで、ご当地の料理や風物詩、自然の魅力が良く伝わってきます。

紙面の素地の白さを物語背景の冬の雪国の白さとして、その中て紅一点というべき鮮やかな「トキ」が出現し、そのトキと村人たちとの関わりから、白一色の里がしだいに鮮やかな色に染まって春を迎える。素朴な中に豊かな自然と村人の優しい温みが漂い、昔話の世界へ誘い込まれるような癒しさえも感じられる好作品でした。

好きな場所を見つけて、りゅう達が生き生き遊んでいる無邪気な構図が魅力。

表紙を開けると型押しされた見返しのページから空想の世界に引き込まれます。細部まで描きこまれた絵から譲さんも恐竜たちと冒険を楽しんでいる様子が伝わってきます。

表紙から目を奪うような鮮やかさで、頁をめくるごとに今度はどのように彩られた場面に出会うのかと期待で胸が躍りました。赤と緑のきょうりゅうが、七色の虹の橋、緑の山、青い水底、夕なずむ住みかへと辿る道筋は色鮮やかな夢の世界の道筋のようでいつまでも見入ってしまいました。

いつも隅々まできもちの入った大型絵本で安定の絵本力、表紙絵の白と朱色と水色で和のお話『タツノコ』を美しく包みます。

「和の古典」を貫き、絵にも物語にも手を抜かない樹くんのこだわりは超一級。文章を削って磨き抜く技を得て、来年度の中高校生部門に満を持して挑んで欲しいと、心から切望しています。

前々、前回と最優秀賞受賞の小山樹君の作品でした。ベースの色を前作の赤から淡い緑・青に変え、巧みな色使いと豊かなストーリー性、しっかりとした構成で魅力ある作品でした。今後のさらなる発展を期待しています。

明るい色彩とたのしい形が白い紙の上で踊っているみたい。お話も大きく園児力がさくれつしています。

鮮やかな色の表紙、ウサギやチータなどかわいい表情の動物たちが、ドーンと目に飛び込んできます。題名も物語にピッタリです。

大胆なタッチと柔らかな色彩のちぎり絵で今年の夏を題材にした『きょうも３ ５ どになりそうです』の「それでもぼくはなつがすきです」力強いことばがうれしいな。

伸びやかな絵とちぎり絵の絶妙な繰り返しは、絵本の王道を感じます。快仁くんの詩的センス、まだまだ伸びそうです！

とぼけた明るさにホッとします。

キャラクターの設定や表現は申し分ありませんが、ページ前半での空間構成が単調となってしまった点が残念です。次回作品に期待します。

レースペーパーや色紙、モールなどの画材を使い画面いっぱいにお花畑やチョウチョを表しました。主人公ももちゃんの元気な声が、ページの中から聞こえてきそうです。

声に出して読みたくなる絵本。ここちよい言葉のリズムを持つ、ちいさな詩人の作品。花火のシーンきれいでした。

凛くんは富山弁の詩が味わい深く、淡い絵柄と絶妙にマッチ。3 年生で俳句や短歌に触れることで、才能が更に開花するでしょう。

心配ばかりしている星の住人が、主人公によって明るく、安心した気持ちで過ごす生活へと変わる話。ハーフトーンが美しく、軽快なタッチで可愛く仕上がっています。

１ ６ 人のきもちを合わせて、ていねいに仕上がりました。いつか大人になった日にこの絵本を開くと、ひまわり組のそれぞれの笑顔の一日にいつでも会うことができます。手づくりタイムマシーン。

飛び出すしかけが絵に奥行きを作りだし効果的です。最後のページのしかけに思わず笑ってしまいました。

大島南部保育園ひまわり組16名の合作です。一人一人の遠足での楽しみが伸びやかに溌剌と描かれ、思わず微笑む好作品でした。