２年連続の受賞となりました。よく練られたお話の展開と優れた画力に加えて装丁までを丁寧に仕上げる絵本作品への気持ちの強さで満票を集めました。

日本文化をベースにした独特の切り口と、獅子親子のやりとりがユーモラスな絵とウイットに富んだ語りで、小山さんの個性的な世界観が表現されています。まだまだ題材を温めているのではと、更なる展開を楽しみにしています。

更に進化しての祝！ 二連覇? ページ数・起承転結・絵と地の文の均衡など、既に作家の風格が漂っているよう。2 年連続の題材が「和の古典」。研究熱心さに頭が下がります。

その赤ら顔の表紙に最初目を囚われて、頁をめくると、昔懐かしい縁日の露店の｢お面｣たちが｢おしし｣の子を中心に愉快そうに戯れている。その｢おしし｣は、色合い、顔つきが、昨年の最優秀賞『雷神さん』の雷神に似ていて、作者を見ると、小山樹君。昨年連続の最優秀賞だ。昨年の作品も良かったが、今回の『おしし』は更にほのぼのとした暖かさの中に懐旧のほろ苦さを感じさせ、若いのに驚くほどの感性だと感嘆する。次回にもまた期待できそうだ。

個性的な色彩センスと構図の上手さに加えて伝えたいことが明確に丁寧に表現されていてすがすがしい作品でした。

日本で活躍していた様々な消防車が第2の人生としてタイ国で活躍することへの作者の熱い想いが伝わってくる作品です。

思わず、一つ一つの消防車に見入ってしまう。観察細やかで丁寧に車を描いてあり、村上遼君の消防車への思い入れの強さがヒシヒシと伝わってくる。

山も木も消防車もぼくもふっくらとのびやかに描かれています。

亮太さんが消防士になって山火事を消しに行くストーリーです。顔をプーとふくらませて一生懸命放水している消防車、山火事が消えてニッコリしている消防車などが画面いっぱいに描かれています。亮太さんの気持ちと消防車の気持ちが一つになって描かれているところは、大人には真似ができない表現だなと感心しました。

リアルに本物に近づくことが村上君の消防車への愛ならば、同じ金賞の『ぼくはしょうぼうし』の堀江亮太君の消防車は何と愛くるしいことだろう。消防車になりきった堀江君の消火の時の車の表情の豊かさに癒やされて微笑んでしまう。

富山湾の海の生き物達が絵本のなかで生き生きと泳ぎ会話し、きらきらと光りながら暮らし、物語を紡いでいきます。

富山湾の生物たちの友情がとにかく温かいのは、葵依ちゃんの人柄なのでしょうね。丁寧に根気よく描かれた絵にも表れています。地の文をもっと絞ると、一層光る作品になりますよ。

淡い色合いの海中で、色鮮やかな魚たちが互いに白エビの宝物を探す。仲良く調和のとれた世界の中での宝物が｢優しさから溢れる光｣で、この清らかで希望に満ちた心根をどうして戦いに明け暮れする大人たちは保てないのだろうか。山崎葵依さんの優しい心情に胸打たれる。

中高生の部はなぜかいつも暗いトーンの作品が多くなる中、今どきのノリで登場。

ページごとに背景色を変え、計算されたシンプルな形と余白が美しい作品です。

「うれしいんだ」という言葉のくり返しが、妹をすきな気持ちを素直な直球で伝えてくれました。

題名が素敵です。「妹の」みーちゃんではなく「ぼくの」みーちゃんなんですね。みーちゃんも晟那さんもぎゅっと抱きしめたくなるほどかわいくて笑顔になれる絵本です。やさしいお兄ちゃんだからこそ作れた絵本ですね。

おやおや、なんだなんだ！ゆさゆさワサワサびろ〜んとふくらんで横たわっていたのは『富山のとびだす絵本』でした。たくさんの人達に読まれてページをめくられているうちに、ぺしゃんこになったりふくらんだりして、はみだす絵本になってしまいましたね、ふふふ。

作品展の期間中ずっと、来場者の注目の的の1 冊。和輝くんの《富山愛》がまさに飛び出して来て、みんなビックリ！ リサイクル資材や素材を研究して、高学年では更に驚かせてくださいね。

１２名のお友達がかわいいお化け達と仲良しになります。しかけなども工夫され、園生活が楽しく描かれ合作のよさを感じました。

方言で書かれた言葉が可愛らしい絵にとけあって、雨の日の喜びにあふれていて素敵な一冊でした。

文章が抜群にうまい！ 「このまま赤ちゃんに読み聞かせしたい！ 」と、川原先生と意見が一致しました。絵とのバランスも絶妙。凛ちゃんにはぜひ、春夏秋冬で、いろんな詩と絵を描いて欲しいな。

様々な戦車の形状、機能、特徴を図解で解説した作品です。戦車の描写はなかなかのもので、手書き文字と一体となって面白い画面空間を作っています。

シンプルな線画ととぼけた明るさが持ち味の山村兄弟の弟くんの作品。

拓矢くんの作品は「小さき者への目線」の優しさが魅力。お話を作る底力もあるので、その優しい目線を、自分の武器として大切にしてね。

山村拓矢君の身近な所に向ける細やかな愛情が感じ取れて心和らぐ作品だ。