小学生とは思えない程の絵本力。最初のページからど〜んと迫力いっぱいの画面ではじまり、お話の面白さと画力のつよさ、装丁までしっかり造り込んであり全員一致での受賞となりました。

雷とブリとの関係は富山の風物詩の一つですが、このような形で雷神とブリ起こしを絡めてきたかと、ウィットに富んだ物語に驚きました。絵の表現力も非凡ですが、まだまだ伸びしろがあり、今後の活躍が大いに期待できます。

画力の確かさもさることながら、キーワードの「ブリおこし」を存分に活かし切っているのがすごい。ブリが「リンゴのマーク」のスマホを持っているなんて遊びごころまで盛り込むあたりも、読み手を楽しませたい！という樹くんのサービス精神の表れ。ストーリーの完成度も非常に高く、満場一致の最優秀賞獲得、おめでとうございます。

中高生の部になると自分だけに向けて発信している作品が多くなる中で、こども力からおとな力への転換のトンネルを抜けて出てきた『ボリー・ボンボン真夜中のサーカス』、丁寧に作られた絵本で、これからも言葉と絵を自在に遊び続けてください。

作品のクォリティが高く、そのまま出版できそうな秀作です。絵の大半が黒一色で描かれているにもかかわらず、重さを感じさせないのは、ユーモラスな人物表現と語りに拠るのでしよう。版画の風合いを取り入れたペン画の手法も活きています。

カエルの造形には、私達大人の審査員の頭の中がくすぐられてしま い、ついには射水市長賞にまでぴょこひょこと歩いて行 ってしまいました。

あまがえるが散歩するストーリーです。水彩の黄緑色が画面いっぱいに広がり、魅力的な色彩で読む人を絵本の世界に引き込んでくれます。晴輝さんが、あまがえると一緒になって散歩しながら絵本を描いたのだろうなと想像させてくれる作品です。

にこちゃんのからだの丸さから、しあわせな安心感があふれていました。

一見、ありがちな展開だなぁ…と感じたのですが、読むごとにこころがあたたかくなります。主要人物をにこちゃんとはなちゃんの2匹だけに絞り込み、おたがいの友情を深め合う様子をそっと和依香ちゃんが見守っている…にこちゃんのふわふわの毛のような、やさしさいっぱいの作品をありがとうね。

好きなことを夢中で描いた『ひこうきがいっぱい』。園児の部の作品は、絵がのびのびと個性的で、くすっと幸福な笑いを運んでくれます。中には最後のページまで気力が続かなかったのか、ぱたりと突然に終わってしまって驚いたりもしましたが、それも園児の天然の自由さでしょう。

飛行機だーいすきの晴那さんだからこそ描けた絵本です。飛行機がグイーンと飛び立つところ、着陸するところを青い空と茶色い地面の間に描きました。飛行機のマークも詳しく描き込み、さらに表と裏の見返しにも、びっしりと描き込まれた時刻表に感心しました。晴那さんの将来の夢は、パイロットだね、きっと!

私は実際に「郡上弁」を調べました！語り部役の太陽さんのように明るくて活き活きとした言葉遣いがすてき。舞花ちゃんのネイティブな発音で読んで欲しくなりましたよ。ポップアップや切り絵のていねいさに、世界にたった1冊の作品への愛情を感じます。

アイデアと大胆な構図。

内容の導入から終わりまでの展開が巧みです。体育授業や給食における心理、状況を漢詩に似せ、その解説が更に笑いを呼び起こしています。背景の絵に半透明のトレぺを被せ、文字を強調させている辺りにセンスの良さを感じます。

園児力満載のお話の可愛らしさと色彩の美しさ。

和紙や千代紙、オーロラのように光る折り紙の特徴を生かして、主人公のマンボウやカメや魚たちを表現しました。最後のページの正面を向いたマンボウがとても印象的です。

この手の言葉あそびの絵本は数多くあるのですが、「かさ」が、表紙から裏表紙にいたるまで、この作品の進行役を果たしていることを高く評価したい。楓生くんの描くイカのダンスの見開きページ、何回読んでもクスッと笑っちゃいます！

戦車たちの擬人化が無理なく成り立っていて毛布のふわふわ道を偵察したりしています。この戦車たちはきっと戦いや争い事に巻き込まれたりしないでしょう。

紙工作の戦車隊が基地を飛び出し、用具が置かれた卓上を見聞する物話。作者の並外れた図画工作少年の姿が想像できます。

「わらっているとうれしくてしあわせだね」で終わるこの絵本、ページをめくるたびに、笑顔になれましたよ。