おならに色を付けるという面白い発想を物語、絵、デザイン全てにおいて的確に表現しきっていて文句なしの作品でした。オチも予想外の花火で終わっている所がまた、おならの匂いを吹き飛ばすようでとても素敵でした。

表紙を裏切らない快作！これまでにありそうでなかったおなら絵本の誕生です！扉の使い方も計算されていて、主人公の怪訝な顔が、物語を予感させます。テキストとは別の細かいセリフのやり取りも、くすりと笑えます。最後の花火はお見事！

おならに色がついてたら？と考えたことが有るような、無いような、そんな自分を振り返ってしまうようなお話でした。可愛らしい話と絵が、とても良く合う、リズム感の良い絵本でした。

表紙のおならは緑色。どうして？と裏表紙を見ると、きゅうりを食べたことがわかる。最後のおならの色の花火がきれいにあがるところは、おなら好きの子ども達に読んだらきっと、大受けでしょう！

赤ちゃんとの付き合い方がまだわからない男の子の不安や戸惑いを、実体験を感じさせる微笑ましいエピソードで表現していて、暖かい読後感を作り上げていました。絵も実に丁寧に描かれていて好感を持てました。

絵の丁寧さに惹かれました。風景や人物など全てに愛情とリアリティが感じられ、物語へ深く入り込めました。弟を泣き止ませたい、新米お兄ちゃんの気持ちに、思わず胸が熱くなりました。

じっくり読ませる内容で、大事な家族の時間を振り返ることのできる絵本だと思いました。予想外の出来事に驚いた“ちーくん”がテーブルの下で動かなくなるという場面、とても共感できました。

赤ちゃんが誕生した時の上の子の気持ちが、怪獣の玩具ガオガオを仲立ちにして見事に描かれています。子ども達に読み聞かせたら、必ずや共感を呼ぶ絵本です。

精巧で美しい色合いの飛び出す仕掛けで、建物であるにもかかわらずうっとりとするような作品になっていました。図鑑的にならないように男の子をうまく狂言回しに使ったのが成功の鍵でした。ただ過去形ではなく、進行形で進められたらもっと絵本らしい臨場感が出たと思います。

市販品かと思う程の、完成度の高さに驚きました！その細かく丁寧な仕事ゆえに、見事に飛び出してくる建物に目を見張りました！ただ建物が素晴らしい分、土台の部分が少し淋しく感じられました。その辺りにも、少し時間をかけてもらえると、雰囲気がさらに増すのではと思います。

とても詳細に横浜の建物についてポップアップで表現されていました。この表現を生かして次は、オリンピック競技会場のすべて、という作品ができると素敵だろうなと勝手に想像しました。

その精巧なしかけは、まるで横浜を散策しているよう。特にベイブリッジの美しさに感動！

大胆でいて洒落た線が気持ちよく、特に前半の大漁のシーンの仕掛けが印象的な作品でした。ただこういうテーマは自身の体験を元にして身近なところから描かなければ人に訴えることは難しいと思います。

メッセージ性の強い作品ではあるものの…顔のアップやスマホなど、所々ほっこりする箇所もあり、話が重くならないような工夫を感じました。３つ目のしかけの魚のシーンは圧巻！クジラのお腹のシーンには心が締め付けられました。海辺に住む僕も、考えさせられた作品。

おとなにも子どもにも、分かりやすく海のごみ問題を伝えることのできるポップアップ作品でした。内容を見ると、第2弾や第3弾を制作できそうに思えたので、次回の作品も期待しています。

海のゴミを捕る漁船の話を三ヵ国語で表示し、海の汚染に警鐘を鳴らす作品。しかけを楽しみながら親子で環境問題を考えることができる絵本です。

何と言っても絵がユーモラスで難しい構図も効果的に使って楽しさを膨らませています。ぜひ、次回はしっかりと起承転結のある作品に挑戦してほしいと思います。

魅力的なキャラクター、独特な世界に惹かれました！ただそれだけにオチの弱さが気になりました。扉の家の図面、うさぎの強烈さゆえに、どんな家が建つのだろう？うさぎには何か秘密があるのでは？など色々と期待していたのですが…。描ける方だけに惜しい！という思いです。

愉快で温かみのある絵の表現が、話のテンポとよく合っていて楽しい絵本でした。ただし話のオチに向かう時、とある場面が無い方がよりすっきりサクっと面白い話にできただろうと思うところがありました。次回は、話をどうまとめるか？について試行錯誤してみてください。

大きなカバの家を小さなうさぎの大工が建てる話。うさぎに力持ち、運転上手、高所も平気、弁当も作るという個性を持たせ、動物の表情がユーモラスです。

キャラクターの表情の描写が本当に素晴らしいです。また、力強い構図も効果的でしたが、近景が多すぎましたね。中景や遠景を合間に入れると、もっと素直に物語に入っていけたと思います。

絵の見せ方が本当に素晴らしく、表情も豊かで、お話にぐいぐい引き込まれてました。山が火を吹くシーンの赤や、吊り橋のシーンなど、様々な工夫がされていました。ただこの絵本だと、本来縦の文字組になります。文字組を意識したデザインなだけに、惜しいと思いました。

力強い絵が、お話を盛り上げている絵本でした。猫の表現力を見ると、次は妖怪などがテーマになる作品も手掛けられるのではないか？と思いました。

大噴火のあとにお化け猫が出て人間に恩返しをするという民話のような物語。迫力ある赤と黒の版画に引き付けられる作品です。

歌舞伎のクライマックスシーンを抜き出した構成で、舞台の感動を蘇らせています。歌舞伎ファンにとっては楽しい仕掛け絵本になっていて、美しい模様の紙をふんだんに使った画面は本当に見応えがありました。

カバーまで丁寧に作り込まれて、作品に対する愛情を感じました。切り絵、そして紙の柄や色の使い方が、テーマの歌舞伎と非常にマッチしていました。ただ欲を言えば、僕を始め歌舞伎を 知らない方には、補足のテキストなどがあると有りがたかったです。

ポップアップのスキルが毎年、向上されてきています。是非次に取り組んでいただきたいのは、話を人に読ませるという点です。例えば、時代劇ドラマを見ていると、そろそろ決めセリフを言う時間だな、ということがありますよね。淡々とした分かりやすい話、そこにどんな決めセリフやオチを入れるか？話の導入、展開、まとめ、そしてそれぞれに合う絵の表現など、絵本には考えるべきことがたくさんありますね。

しかけ絵本で楽しむ歌舞伎の世界。有名な五つの演目が舞台を見るようにしかけられていて贅沢な一冊です。