まず、絵の素晴らしさ、キャラクターのかわいらしさに目を奪われます。洗練された色や、デフォルメ、省略のセンスが圧倒的です。非常に高い美意識を感じます。また身近なテーマであるにもかかわらず、とってもユーモラスに展開させているところがうまい。本にするときはもう一つエピソードをいれるとさらに満足感のある作品になると思います。

さわやかな寒色のシンプルな背景に、ちょっと気難しそうな女の子が表紙に描かれています。とても魅力的な表紙でした。本を開けると暖色と、フォークに絡まったスパゲティが表現され、作者のセンスの良さを予感できました。ページを進めると、スパゲティを目の前に困った顔の女の子、食べたくない！と怒りだすけど・・気転のきくお母さんの仕掛けで大喜びになっちゃう女の子。お話の主なページは無地の背景を使い、大喜びになっちゃう女の子の見たものは印象深い暖色の背景を使う等、作者のセンスの光る作品でした。淡々としたストーリーをいかに印象深く見せるか？を学べる絵本ですから、応募者の方々には是非ご覧になっていただきたい作品だと思いました。

母親が食事を嫌がる子のために考えたアイディアが何とも素敵です。スパゲッティでキリンを、サラダでカメの絵をお皿に描いて見せるのです。もちろん、子どもは大喜び！易しい英語の文章も親子で一緒に声に出して楽しめるでしょう。

前回金賞だった方の作品ですが、前作を上回る品質の作品に驚きました。著者の幼少時代を追体験させてもらえたような感じがするほどに瑞々しい絵本にしあがっています。ご高齢とは思えない完成度の高さです。それは何と言ってもキラキラするほどの感性をずっと持っておられるからなのだろうと思います。

澤田さんの作品は、昨年度の金賞作品『ぼくのたけのこくん』に引き続きの受賞です。家の中から外を見て不安そうにする2人の女の子が表紙に描かれていました。絵を見てすぐに澤田さんの作品だということが分かっただけでなく、今回はどんな作品になっているのかな？と思いました。読み進めると、期待を裏切らない表現でした。地域の文化や風習とともに、家族の絆がなんとも絶妙に表現されていました。

最近多く発生する台風へ備える家族の物語。強風を描いた表紙からは風の音が聞こえてきます。「いもつぼ」の中で台風が過ぎるのを待つのだという。澤田さんの作品はいつも生活に根ざした傑作です。

領家手づくり絵本の会12名の合作で、4回目の挑戦ですが、今年は絵もしかけも結構な出来で、特に用紙が素晴らしい。どういう分担で制作したのか是非訊いてみたい最高のチームワークです。

この作品は最優秀賞にするか本当に悩んだほど優秀な作品です。このまま書店に売れ筋作品として飾られていてもおかしくないぐらいです。何気ないファンタジーの世界を臨場感いっぱいにやさしく表現していて、親子でおしゃべりしながら読むのにぴったり。必ず素敵な時間を作ってくれるでしょう。絵本を通して子どもとたくさんの時間を過ごされてきた方でないと作れないすばらしい絵本です。

なんとも可愛らしい野菜たちが表現された絵本でした。小さな子どもと一緒に読み進めたら楽しいだろうなあと思えた作品でした。読み終えてもお風呂場で、子どもとストーリーを思い出しながら、会話を楽しませてくれるだろうと思いました。

野菜たちが銭湯に行く話。野菜が会話しながら生き生き動き回り、野菜嫌いの子もこの絵本を傍に置けば食べたくなること間違いなし。多くの子ども達に紹介し、一緒にわいわい読みたい絵本です。

技法も仕上げも美しく、あとはテーマの選び方でどれだけスケール感を出せるかが一般の部の絵本の秀作との勝負のポイントになると思われます。いつも素晴らしい色使いで美しい世界を展開し、井口文秀賞に輝いている平塚啓さんも、今回は優しさを前面に出す作品でした。

スタイリッシュでポップなセンスが光っています。お話も可愛くて好感を持てます。若い方なのであとほんの少し絵本のことが見えてくると、必ず素晴らしい作品を生み出すでしょう。今後を期待しています！

表紙に描かれた色彩が、すべてのページに一貫して用いられ、作者の強い思いを感じさせました。でもストーリーは、“だらしないアーロン”で進められていくので、そのアンバランスな印象も楽しめました。

だらしない犬のアーロンが、しっかり者になるためのツアーに参加しますが、そのままのアーロンでいいのだとわかります。犬の話に子ども達は自分を重ねて読むことでしょう。

子育ての日常の中にある小さなエピソードを上手に絵本の形にしています。絵本センスのある方です。子育て中のことを思い出して本当に懐かしい気持ちになりました。次回はぜひ子ども視点で描いてみてください。

ごはん粒のたくさんついた両手が表紙にあり、どんな作品かな？とページを進めると、表紙の印象よりも少し爽やかな絵の表現と、あたたかな家族のかかわりを感じさせてくれる可愛らしい内容でした。

私も子育ての時、最近では孫たちと過ごして、同じ状況でした！家族みんなを巻き込みながら子どもが育つことのよさが、伸びやかな絵から伝わってきます。

開くと本物の毛糸玉が転がり出てくるようなしかけ絵本。子ども達の身近に、このような感動的なしかけ絵本がたくさんあって楽しめるといいなと思います。