赤ちゃんにお母さんを独占されている女の子の「私も、もっとお母さんに甘えたい」という願望を叶える作品。実はこの願望、ほとんどの子が切実に感じているのに必死に我慢しているのです。そんな子どもの気持ちをポンッと解放させてくれる秀作です。このテーマが決めてとなりました。完結に訴える絵でありながらキャラクターもしっかり表現できているのもすばらしい。

お母さんと一緒にいたい子どもの気持ちをコミカルに表現する、楽しい作品でした。特に画面に構成される絵がとても洗練されているだけでなく、楽しいお話にピッタリでした。今後の作品もきっと楽しいものをつくってくださると期待しています。

どの子も持っているお母さんを独占したい気持ちが描かれています。私も３人の我が子に「ちょっとまってねぇ」を連発したのを思い出しました。家族のそれぞれの気持ちを思いやりながら一緒に楽しめる内容です。題名と表紙の絵にもう少し工夫があればと思いました。

男の子が小さくなって虫専門のお医者さんになるファンタジー作品。夢中になって読んでしまいました。気持ちの入った絵、子どもの心を表現したストーリー。虫との可愛らしいエピソードに思わず笑顔になります。最後に男の子が羽をもらうオチがさらに物語を大きくふくらませていて、完成度高い！

自分が小さくなって虫のお医者さんになって活躍する姿、そして最後に素敵な羽がお医者さんにプレゼントされるという内容でした。子どもであっても大人であっても、そんな夢を追いかけたくなるような素敵なお話でした。あたたかい絵の表現に合う、素敵なストーリーをまた読ませていただきたいです。

虫好きの男の子が魔法で小さくなり、虫の病院を開くお話。看護師は蜘蛛のおねえさん、往診は蜻蛉に乗って。その男の子へ虫達からの贈物は、なんと４枚の蜻蛉の羽！この素敵な贈物に子ども達が歓声をあげること間違いなしです。

近年毎回のように応募され、そのたびに進歩がみられた新田一良さん。今年は持ち前の絵の楽しさ、明るさに、弱点だったしかけに工夫を加えて楽しさを倍増させました。

竹林の隣の家に床からタケノコが生えてくる話。土間にひょっこり生えてきたり、畳を持ち上げてタケノコがー！なんて楽しいエピソードでしょう。でもこれはファンタジーのようで実話。今の子どもたちが読んだら絶対面白がるはず。画力も構成力もレベルが高く目のつけどころが素晴らしい。

家の下からタケノコがむくむく育ってきて楽しいやら大騒ぎ、という内容でした。竹藪の近くに住む人ならば納得のお話、都会に住む人ならば驚きのお話で、地域性を強く表現する楽しい話にまとめられていました。また家の中から巨大なタケノコを見つける場面のページは、イメージ表現ではなくもっと真実に迫る表現の方がよかったと思いました。次回の作品も期待しています。

竹の子と背くらべをしている表紙の家族の笑顔が素敵です。その笑顔に惹かれて開いていくとなんと大蛇のような竹の子が床を持ち上げているではないか。竹の子の季節に読んであげたい絵本です。

朝、お母さんが見当たらず不安な子どもたちだが、それを楽しい時間に変えていく姉妹の話。小さいエピソードですが、しっかり構成されていて気持ちが伝わる秀作になっています。

お母さんがいない中、姉妹による朝食づくりの奮闘を描いた内容でした。こんな姉妹がいたら素敵だなあと思えるお話でした。ただ話の最後の方、お母さんが留守だった理由への違和感や、お父さんの存在を感じさせないのはなぜだろう？とも思いました。次回の作品では、話の中心ではない部分への疑問を読み手に感じさせないように工夫をしてみてください。

その題名の通り、誰でも経験したことがあるお母さんがいないちょっと不安な朝をほのぼのとしたタッチで描いています。当り前の日常の大切さが伝わってくる作品です。

”羅生門”の世界を、レベルの高い切絵をしかけで動かす高度なテクニックで描き切りました。ここまでくると最優秀賞を狙う作品づくりに挑戦するしかないのですが、そのためにはテーマと物語にオリジナリティが必要となります。長澤さんの更なる進化を祈念しています。

ウミガメの生態がおおらかな絵とストーリーで表現された作品。絵がのびのびしていて、まさに海で泳いでいるような気持ち良さを感じます。無垢な情熱を感じて大変好感を持ちました。

亀の一生について人間や環境との関連から描かれた内容でした。人間と自然のかかわりについて高い関心を持っている人でなければ表現できない内容だと思いました。次回の作品では、話の内容をより魅力的にみせる画面の構図に工夫を凝らしてみてください。

屋久島のアカウミガメが東シナ海からアメリカの西海岸を経て、２０年後に屋久島に子連れで帰るまでを描いています。物語を通してカメの一生も知ることができるやさしい科学絵本になっています。

しかけが満載の大型本で５回も応募されています。今回の4人組のもりあげ隊の活動が得意のしかけで生きました。