男の子が海辺の町に向かう一人旅を描いた作品。海へ行く期待でドキドキする男の子のきもちが伝わってきます。全編にわたって、簡潔に省略化された風景がとてものびやかに描かれていて、田んぼや海の空気を感じさせてくれました。大人も童心にかえるような秀作です。最優秀賞は迷わず、この作品に決まりました。

お話の流れとともにうつりかわってゆく景色が、穏やかに印象深く表現されている絵本でした。絵本としてはページ数の多い作品でしたが、それを感じさせない力のある作品でした。

主人公の男の子が夏休みに電車に乗って、灯台のある町に住むいとこに会いに行くまでが描かれています。海と空の色が美しく、まるで一緒に電車に乗って眺めているよう。電車好きの子どもを引きつけ、傍に置いておきたくなる作品だと思いました。

人の流した涙をすくいあげるという「鳥」の詩に、具象と抽象の混じりあった、絵が添えられている。大胆な線と形が気持ちよく、力強さも繊細さもあわせもった、深みのある絵が魅力的でした。飛ぶ鳥の自由さがよく表現されています。自分自身が感じた身近なことをテーマにすればもっと共感を呼ぶ作品になると思います。

お話の内容は、詩的な雰囲気のあるもので、その雰囲気をさらに高める絵の表現がなされていたと思いました。もし可能であれば次回作は、子ども向けの内容のものを見てみたいと思いました。

悲しみが和らいでいく大人向けの作品になっています。「なみだどり」はこの星のどこかで涙がこぼれた時に、涙を持ち帰る鳥。その鳥は涙の雫の形で描かれ、色合も深く絵に添えられた短い言葉が作品の世界へ誘ってくれます。

アップリケ風にデフォルメされた動物がかわいい上にメガネを選んでかけるというアイディアが楽しさを倍にしてくれました。

民族衣装を思い起こすような、力強い色彩に目をうばわれる布と刺繍の絵本。特に「たまどめの糸くず」が散らばっているシーンは印象的でした。一針一針最後まで、丁寧に描いているのは、好感がもてました。あとは、この糸くずたちと主人公との関わりをちゃんと描いてほしかったです。次に期待したいです。

作者のあたたかい視点のあふれるお話と絵の表現になっていました。各ページで用いられる色彩はとても魅力的で、今後の作品においてもその色感の良さを生かしていただきたいと思います。

色とりどりの糸屑からの発想がユニークで楽しい作品。生成りの布地に、丁寧にアップリケされた「もけ」が今にも動き出しそうにみえます。私も糸屑を捨てずにとっておこうと思ったほどです。

夜、星を見に少年たちが自転車で山へ向かいます。全編にわたって展開がうまく、単純な話なのに読者を引き込んで行きます。その構成力は今年一番だったと思います。銀賞にとどまったのは、画力がついていってないからです。ぜひ、今度は時間をかけて絵を描き、納得のいく作品に仕上げてほしいと思います。

少年たちが星をおっていくお話で、最後はどのような展開になるのだろうかと期待を持たせてもらえました。しかし残念ながら、お話の最後の方の絵の表現に物足りなさを感じてしまいました。次回作はぜひとも、読み手の求める展開を盛り込んだ作品になるよう期待しています。

表紙から始まる星空の下の夜の風景に惹かれ、どんな星に会えるか期待が膨らみました。最後にもう少し大きな星が描かれた場面があってもよかったかなと思いました。

新幹線開通ブームで湧く北陸新幹線や世界の新幹線をよく調べて比較したおそろしく力の入った作品ですが、これにしかけ絵本としての鮮やかさが加われば、もっと上位に入賞したのにと残念でした。

ねこのかわいらしさにマッチしたかわいいしかけの完成度の高い小品でした。

気持ちのいいぐらい大胆な構図や、デフォルメのセンスが光っています。描く力のある方なので、自分が生活の中で面白いと感じたことを描くことと、全体の構成力をつければ、飛躍的に伸びると思います。その点に気をつけて次の作品を描いて下さい。

絵の表現がとてもあたたかで強さのあるものでした。しかし各ページのお話に合わせて絵の表現にもう少し強弱をつけられたら更によくなると思いました。次回作に期待したいと思います。

ダイナミックな絵の動きに圧倒されました。疲れておにぎりを強く握れなくなるお母さんを心配する優しいオニ太。おにぎりには、愛情と元気が握られているのですね。