2018/03/18

Vol.2 新田一良 さん

過去の絵本コンクール応募者の皆様に、お話をお聞きしました。
「出品してみようかな……」と迷っておられる方、
「射水市大島絵本館の絵本コンクールってどんなコンクールなの?」
と思っていらっしゃる方、必見です!! 
第2回目は、2008年から毎年、一般の部、しかけ部門の両部門にご応募され
数々の賞を受賞していらっしゃる
新田一良さんにお話をうかがいました。

新田一良 さんのプロフィール

新田一良

埼玉県深谷市在住1961年生まれ、
町工場に勤めるいち社会人です。
趣味がミステリー系の読書。
宮部みゆきと中山七里が一番のお気に入り。
次に献血。昨年150回を超えました。
そして最近、家庭菜園を始めました。
このところ20年以上ご無沙汰ですが編み物もやります。
いちばんは図画工作。その中で大部分を占めるのが絵本としかけ絵本になります。

2003年頃家庭に導入されたパソコンのお絵かきソフトを使って息子が出てくる絵本を作り始める。
当時はまだドットの粗い絵で製本もペラペラ。
2005年頃地元図書館主催の「手づくり絵本講座」に参加。本物っぽい製本を習って面白くなる。
それに合わせて絵も水彩を使用するようになる。
2006年頃地元図書館からの依頼でポップアップ絵本の5回限りの短期講座を行う。
ポップアップに関してはこの講座を行うことになってから勉強をはじめた。
2007年頃ポップアップ短期講座の出席者がサークルを作って続けたいということで、
「新田がキットを作って参加者が作る」という形で月一回のサークルが始まる。およそ7年後に新田の都合で終了する。
2007年頃KFS(講談社フェーマススクールズ)とい通信講座で絵の勉強。40の手習い。三年間続く。
2008年頃「あやねちゃんのちいさなもり」という作品を「文芸社ビジュアルアート5月のマンスリーコンテスト」に応募。最優秀賞をいただいて出版社持ちの出版に至る。
2008年この年から大島絵本館のコンクールに応募を始める。
一般としかけの両方に2017年までは欠かさず応募。
時期形式作品賞名・主催
2007年KFSおいしいイラスト大集合展奨励賞
2008年一般絵本あやねちゃんのちいさなもり文芸社ビジュアルアート5月のマンスリーコンテスト最優秀賞
2008年一般絵本初夏の庭へようこそおおしま国際手づくり絵本コンクール2008入選
2008年ポップアップ絵本春ですよおおしま国際手づくり絵本コンクール2008奨励賞朝日新聞社賞
2009年ポップアップ薔薇一重島田紙わざ探検隊第19回紙わざ大賞入選
2009年ポップアップ絵本えとおおしま国際手づくり絵本コンクール2009奨励賞富山新聞社賞
2010年ローズガーデンへようこそおおしま国際手づくり絵本コンクール2010金賞
2111年5月ポップアップ絵本もう一年おおしま国際手づくり絵本コンクール2011奨励賞富山テレビ賞
2012年5月ポップアップ絵本竜のはなかんむりおおしま国際手づくり絵本コンクール2012しかけの部銅賞
2012年7月日食観測KFSアートコンテスト入賞
2012年7月眠れぬ夜に数える星はKFSアートコンテストj準入賞
2012年8月ポップアップ絵本すいれん下松手づくり絵本の会佳作
2012年9月ポップアップ胡蝶の夢開く(胡蝶蘭)世界らん展2013(写真応募)予備審査合格らん展展示なる
2013年1月一般絵本スエボッチの赤いふんどしKFS絵本グランプリ入選
2013年3月初めての大役で地に足つかずKFS第七回デザインフェスタイラストコンペビッグサイト賞
2013年4月自然体第15回アート・コンテスト選抜展特別賞で原宿にも展示
2013年5月一般絵本スエボッチの赤いふんどしおおしま国際手づくり絵本コンクール2013入選
2013年5月ポップアップ絵本小さな水族館おおしま国際手づくり絵本コンクール2013金賞
2013年6月いざ出陣第26回KFSアートコンテスト準入選
2013年6月飼い主に似る飼い犬に似る第26回KFSアートコンテスト準入選
2013年8月ポップアップ絵本かっぱのかあたん下松手づくり絵本コンクール2013佳作
2013年8月ポップアップポップアップでんどろ・美・産む世界らん展2014(写真応募)予備審査合格らん展展示なる
2103年8月ポップアップ絵本竜の花かんむり東京展絵本の部屋優秀賞
2013年9月きっと・届く16回KFSコミックイラストグランプリ入選
2014年5月ポップアップ絵本ぼくのなつ休みおおしま国際手づくり絵本コンクール2014銅賞
2014年6月新種誕生KFS第15回コミックイラスト選抜展特別賞
2014年6月EDO48第27回KFSアートコンテスト準入選
2014年6月神渡りの先触れ第27回KFSアートコンテスト準入選
2014年8月絵本ぱんジイ下松手づくり絵本コンクール2014佳作
2014年8月ポップアップ絵本となりのまちの水族館下松手づくり絵本コンクール2014下松市教育長賞
2014年9月カットマン17回KFSコミックイラストグランプリ入賞
2015年5月ポップアップ絵本小鳥の家おおしま国際手づくり絵本コンクール2015奨励賞
2015年5月絵本くにざかいのはちかいおおしま国際手づくり絵本コンクール2015入賞
2015年5月河童の川下り熊谷市階段アート採用
2015年5月デザイン餃子の月餃子Tシャツ優秀賞
2015年5月デザインじゃじゃじゃずずずジャズTシャツアース賞
2015年6月次鋒行きます第28回KFSアートコンテスト準入選
2015年6月屋台囃子が轟くよ第28回KFSアートコンテスト入選
2015年8月絵本だっそうアリクイ有田川絵本コンクール2015一次審査通過
2015年9月工作らん・卵・蘭世界らん展2016予備審査合格らん展展示なる
2015年9月絵本いちにちのおわりに華頂短期大学第9回絵本大賞一般部門賞
2015年9月今日から二学期18回KFSコミックイラストグランプリ入選
2016年4月絵本つきうさぎ三鷹市星と森と絵本の家回廊ギャラリー展示絵本募集最終選考まで残るも落選
2016年5月ポップアップ絵本おばけアパートおおしま国際手づくり絵本コンクール2016金賞
2016年5月絵本えんぴついっぽんクリエイティブメディア出版えほん・児童書コンテスト2016絵本部門一次通過最優秀賞
2016年5月20点クリエイティブメディア出版えほん・児童書コンテスト2016絵本・児童書表紙挿絵部門一次通過
2016年6月まだまだ若い者には負けねえよ第29回KFSアートコンテスト準入選
2016年6月初登校の朝第29回KFSアートコンテスト準入選
2016年7月詩画笑う柘榴第四回富弘美術館詩画の公募入選
2016年9月小さな女子会19回KFSコミックイラストグランプリ入選
2016年10月ポップアップ絵本こざるがいっぴき手づくりしかけ絵本コンクール(三条市)しかけ部門賞
2017年4月絵本のらコアラクリエイティブメディア出版えほん・児童書コンテスト2017絵本部門一次通貨ポシビリティ賞
2017年6月花粉の季節第30回KFSアートコンテスト準入選
2017年6月あ・カーリング第30回KFSアートコンテスト入選
2017年7月アジの開き第五回富弘美術館詩画の公募入賞
2017年7月ポップアップ絵本くももくもく第7回岐阜女子大学手づくり絵本コンクール特別賞
2017年9月ハナシカ20回KFSコミックイラストグランプリ入選
2017年10月ポップアップ絵本ともこちゃんのランドセル第2回手づくりしかけ絵本コンクール(三条市)しかけ部門賞

新田一良 さんの作品

『うみでのうわさ』

『うみでのうわさ』

2017年出品作品/金賞受賞

海の中では最近見たことがない魚を見かけるという噂が……魚達が口々にあげる変わった特徴にタツノオトシゴは混乱します。どうやらそれは人間という動物だったようです。

『うみでのうわさ』
『おばけアパート』

『おばけアパート』

2016年出品作品/銀賞受賞

町外れの雑木林の後に建ったアパート。そこに泥棒が入って散々驚かされたあげく捕まります。なんといってもお化けが管理人を務める世界一安全なアパートですからね。

『おばけアパート』

インタビュー

はじまり

机周り。居間の片隅のこの古い学習デスクが私のスペースです。この混沌(カオス)から作品が生まれます。ちなみに今机の上にあるのはコピー用紙でざっと作ったイメージ型で、これをバラして各パーツを書き出して行きます。テレビは見ずにもっぱらラジオ専門。ほぼ100%、TBSリスナーです。
────
絵本づくりをはじめられた
きっかけを教えてください。
新田一良
息子たちの保育園時代に
彼らが出てくる絵本を作ったのが
はじまりです。
────
絵本館のコンクールに応募された
きっかけを教えてください。
新田一良
特に目的もなく
しかけ絵本を作ったのですが、
出来上がったらどこかに出して見たくなって
応募先を探していたら絵本館のコンクールをみつけました。
一般絵本のコンクールは多数あるのですが、しかけ絵本のコンクールは当時、絵本館が唯一といってもよかったのではないでしょうか。

制作時間と突破口

図書館。資料さがしや気分転換も兼ねてよく図書館へ行きます。県産の材木を使った暖かみのある図書館です。靴を脱いであがります。
────
絵もしかけもオリジナルのしかけ絵本を
毎年ご応募して下さっていますが、
制作にはどのくらいお時間がかかりますか。
新田一良
勤めの合間での作業で、ざっくり8ヶ月というところでしょうか。
図書館マスコット。図書館マスコットの「はなぞうくん」です。公募に応募して採用された私の作品です。
────
アイディアに困られたり、行き詰ったりすることはありますか。
またその時の解消法を教えてください。
新田一良
予想のように動かない時は、
すぐに棚上げして別のしかけ方法を考えてしまうので、困ったりすることはないといっていいと思います。
棚上げしたものは
後で降ろして考えなおしたりします。
何年も寝かせているものもあります。
と、いうより忘れていて急に解決策と共に
思い出すというかんじでしょうか。

しかけ絵本をつくりたい人に

しかけ絵本、一般絵本、共に応募が済むと結果如何にかかわらず図書館に寄贈させてもらっています。(無理やり押し付けているという説もあります)私のコーナーができています。
────
初めてしかけ絵本をつくられた際に
どこからアプローチ(参考書、手法など)
されましたか
新田一良
市販されているしかけ絵本を見て
「盗み」ました。
つぼ
────
年々ブラッシュアップされていますが、
「開いて」「閉じる」しかけ絵本をつくる
コツを教えてください。
新田一良
なるべく組み合せ部分を多くして、
紙を折る部分を減らすようにしています。
それにより動きがスムーズになっているのではないでしょうか。
ポップアップは閉じる時に壊れることが多いのでどちらかといえば、いかにスムーズに閉じるかを優先して考えています。

制作過程

しかけ絵本。ほぼ全てかな。
おや、まだどこにも応募していない本が写りこんでいるではないか。
────
パソコンを使って制作しておられますが、使用しておられるソフト名を教えてください。
また工程の流れは?
新田一良

ソフトは「Photoshop」を使っています。
以下、工程です。

  1. コピー用紙を使っておおまかに基本の動きを簡単に作る。
  2. それを元にコピー用紙に各パーツをシャーペンで書き出す。
  3. パソコンに取り込んで厚口ケント紙にプリント
  4. 作ってみて動きを確認。
  5. 細かいパーツを加えていって何度か繰り返す。
  6. 良ければパーツを製図用の細ペンで清書。
  7. 各パーツ内に収まる様に画用紙に絵を描く。
    同時に台紙も描く。
  8. 清書したパーツと画用紙の絵を
    パソコンに取り込んで組み合わせる。
  9. プリントして製作
  10. 完成。

ものすごくざっくりとした工程説明です。
各工程共当然一回では決まったことがありません。
何回もすこしづつ変えて試します。
途中まで行ってからかなり前工程に戻ることも多々あります。

『うみでのうわさ』より
────
「しかけ」から考えておられますか。
それとも「つくりたいもの」に合わせて
「しかけ」を考えておられますか。
新田一良
しかけから考えています。
つくりたいしかけを優先して
それを無理やり繋げてストーリーをつけています。
そのため、よくストーリーが弱いと言われます。
最近はなるべくお話の方を優先させる様に意識しています。
かに
────
しかけ絵本をつくったことのない人にアドバイスをお願いします。
まずどこから始めればよいですか。
新田一良
簡単なカードみたいなものから始めるのがいいと思います。
しかけの要領がわかったら四ページ(起承転結)程度の絵本、
そのうち1ページにでもしかけが入れば立派なしかけ絵本です。

おおしま国際手づくり絵本コンクールについて

『おばけアパート』より
────
毎年、表彰式にお越しいただいていますが、
当館の絵本コンクールの印象を教えてください。
新田一良
りっぱなコンクールで晴がましい気持ちになります。
しかけ絵本をやる人は少ないので、
しかけ絵本製作について話ができる人に会えるのが楽しみです。
────
これからも絵本コンクールにご応募して下さいますか。
新田一良
もちろんです!
ただし製作が間に合えばですが。

メッセージ

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射水市大島絵本館のコンクールへ出品される方に
一言お願いします。
新田一良
人に見てもらうということを意識するだけで作品は変わります。
どしどし応募しましょう。
────
新田一良さん、ありがとうございました!
えさがいっぱい

スタッフからひとこと

新田さんの作品は、毎回、本コンクールの見どころの一つです。
毎年、新しいしかけを盛り込んだ完成度の高さには驚くばかりです。
表彰式でもおなじみになりました。
これからも作品を楽しみにしています。

次回のインタビューは4月中旬公開予定です。