2003年頃 | 家庭に導入されたパソコンのお絵かきソフトを使って息子が出てくる絵本を作り始める。 当時はまだドットの粗い絵で製本もペラペラ。 |
2005年頃 | 地元図書館主催の「手づくり絵本講座」に参加。本物っぽい製本を習って面白くなる。 それに合わせて絵も水彩を使用するようになる。 |
2006年頃 | 地元図書館からの依頼でポップアップ絵本の5回限りの短期講座を行う。 ポップアップに関してはこの講座を行うことになってから勉強をはじめた。 |
2007年頃 | ポップアップ短期講座の出席者がサークルを作って続けたいということで、 「新田がキットを作って参加者が作る」という形で月一回のサークルが始まる。およそ7年後に新田の都合で終了する。 |
2007年頃 | KFS(講談社フェーマススクールズ)とい通信講座で絵の勉強。40の手習い。三年間続く。 |
2008年頃 | 「あやねちゃんのちいさなもり」という作品を「文芸社ビジュアルアート5月のマンスリーコンテスト」に応募。最優秀賞をいただいて出版社持ちの出版に至る。 |
2008年 | この年から大島絵本館のコンクールに応募を始める。 一般としかけの両方に2017年までは欠かさず応募。 |
2018/03/18
Vol.2 新田一良 さん
過去の絵本コンクール応募者の皆様に、お話をお聞きしました。
「出品してみようかな……」と迷っておられる方、
「射水市大島絵本館の絵本コンクールってどんなコンクールなの?」
と思っていらっしゃる方、必見です!!
第2回目は、2008年から毎年、一般の部、しかけ部門の両部門にご応募され
数々の賞を受賞していらっしゃる
新田一良さんにお話をうかがいました。
新田一良 さんのプロフィール

埼玉県深谷市在住1961年生まれ、
町工場に勤めるいち社会人です。
趣味がミステリー系の読書。
宮部みゆきと中山七里が一番のお気に入り。
次に献血。昨年150回を超えました。
そして最近、家庭菜園を始めました。
このところ20年以上ご無沙汰ですが編み物もやります。
いちばんは図画工作。その中で大部分を占めるのが絵本としかけ絵本になります。
時期 | 形式 | 作品 | 賞名・主催 | 賞 |
---|---|---|---|---|
2007年 | 絵 | KFSおいしいイラスト大集合展 | 奨励賞 | |
2008年 | 一般絵本 | あやねちゃんのちいさなもり | 文芸社ビジュアルアート5月のマンスリーコンテスト | 最優秀賞 |
2008年 | 一般絵本 | 初夏の庭へようこそ | おおしま国際手づくり絵本コンクール2008 | 入選 |
2008年 | ポップアップ絵本 | 春ですよ | おおしま国際手づくり絵本コンクール2008 | 奨励賞朝日新聞社賞 |
2009年 | ポップアップ | 薔薇一重 | 島田紙わざ探検隊第19回紙わざ大賞 | 入選 |
2009年 | ポップアップ絵本 | えと | おおしま国際手づくり絵本コンクール2009 | 奨励賞富山新聞社賞 |
2010年 | ローズガーデンへようこそ | おおしま国際手づくり絵本コンクール2010 | 金賞 | |
2111年5月 | ポップアップ絵本 | もう一年 | おおしま国際手づくり絵本コンクール2011 | 奨励賞富山テレビ賞 |
2012年5月 | ポップアップ絵本 | 竜のはなかんむり | おおしま国際手づくり絵本コンクール2012 | しかけの部銅賞 |
2012年7月 | 絵 | 日食観測 | KFSアートコンテスト | 入賞 |
2012年7月 | 絵 | 眠れぬ夜に数える星は | KFSアートコンテスト | j準入賞 |
2012年8月 | ポップアップ絵本 | すいれん | 下松手づくり絵本の会 | 佳作 |
2012年9月 | ポップアップ | 胡蝶の夢開く(胡蝶蘭) | 世界らん展2013(写真応募) | 予備審査合格らん展展示なる |
2013年1月 | 一般絵本 | スエボッチの赤いふんどし | KFS絵本グランプリ | 入選 |
2013年3月 | 絵 | 初めての大役で地に足つかず | KFS第七回デザインフェスタイラストコンペ | ビッグサイト賞 |
2013年4月 | 絵 | 自然体 | 第15回アート・コンテスト選抜展 | 特別賞で原宿にも展示 |
2013年5月 | 一般絵本 | スエボッチの赤いふんどし | おおしま国際手づくり絵本コンクール2013 | 入選 |
2013年5月 | ポップアップ絵本 | 小さな水族館 | おおしま国際手づくり絵本コンクール2013 | 金賞 |
2013年6月 | 絵 | いざ出陣 | 第26回KFSアートコンテスト | 準入選 |
2013年6月 | 絵 | 飼い主に似る飼い犬に似る | 第26回KFSアートコンテスト | 準入選 |
2013年8月 | ポップアップ絵本 | かっぱのかあたん | 下松手づくり絵本コンクール2013 | 佳作 |
2013年8月 | ポップアップ | ポップアップでんどろ・美・産む | 世界らん展2014(写真応募) | 予備審査合格らん展展示なる |
2103年8月 | ポップアップ絵本 | 竜の花かんむり | 東京展絵本の部屋 | 優秀賞 |
2013年9月 | 絵 | きっと・届く | 16回KFSコミックイラストグランプリ | 入選 |
2014年5月 | ポップアップ絵本 | ぼくのなつ休み | おおしま国際手づくり絵本コンクール2014 | 銅賞 |
2014年6月 | 絵 | 新種誕生 | KFS第15回コミックイラスト選抜展 | 特別賞 |
2014年6月 | 絵 | EDO48 | 第27回KFSアートコンテスト | 準入選 |
2014年6月 | 絵 | 神渡りの先触れ | 第27回KFSアートコンテスト | 準入選 |
2014年8月 | 絵本 | ぱんジイ | 下松手づくり絵本コンクール2014 | 佳作 |
2014年8月 | ポップアップ絵本 | となりのまちの水族館 | 下松手づくり絵本コンクール2014 | 下松市教育長賞 |
2014年9月 | 絵 | カットマン | 17回KFSコミックイラストグランプリ | 入賞 |
2015年5月 | ポップアップ絵本 | 小鳥の家 | おおしま国際手づくり絵本コンクール2015 | 奨励賞 |
2015年5月 | 絵本 | くにざかいのはちかい | おおしま国際手づくり絵本コンクール2015 | 入賞 |
2015年5月 | 絵 | 河童の川下り | 熊谷市階段アート | 採用 |
2015年5月 | デザイン | 餃子の月 | 餃子Tシャツ | 優秀賞 |
2015年5月 | デザイン | じゃじゃじゃずずず | ジャズTシャツ | アース賞 |
2015年6月 | 絵 | 次鋒行きます | 第28回KFSアートコンテスト | 準入選 |
2015年6月 | 絵 | 屋台囃子が轟くよ | 第28回KFSアートコンテスト | 入選 |
2015年8月 | 絵本 | だっそうアリクイ | 有田川絵本コンクール2015 | 一次審査通過 |
2015年9月 | 工作 | らん・卵・蘭 | 世界らん展2016 | 予備審査合格らん展展示なる |
2015年9月 | 絵本 | いちにちのおわりに | 華頂短期大学第9回絵本大賞 | 一般部門賞 |
2015年9月 | 絵 | 今日から二学期 | 18回KFSコミックイラストグランプリ | 入選 |
2016年4月 | 絵本 | つきうさぎ | 三鷹市星と森と絵本の家回廊ギャラリー展示絵本募集 | 最終選考まで残るも落選 |
2016年5月 | ポップアップ絵本 | おばけアパート | おおしま国際手づくり絵本コンクール2016 | 金賞 |
2016年5月 | 絵本 | えんぴついっぽん | クリエイティブメディア出版えほん・児童書コンテスト2016絵本部門 | 一次通過最優秀賞 |
2016年5月 | 絵 | 20点 | クリエイティブメディア出版えほん・児童書コンテスト2016絵本・児童書表紙挿絵部門 | 一次通過 |
2016年6月 | 絵 | まだまだ若い者には負けねえよ | 第29回KFSアートコンテスト | 準入選 |
2016年6月 | 絵 | 初登校の朝 | 第29回KFSアートコンテスト | 準入選 |
2016年7月 | 詩画 | 笑う柘榴 | 第四回富弘美術館詩画の公募 | 入選 |
2016年9月 | 絵 | 小さな女子会 | 19回KFSコミックイラストグランプリ | 入選 |
2016年10月 | ポップアップ絵本 | こざるがいっぴき | 手づくりしかけ絵本コンクール(三条市) | しかけ部門賞 |
2017年4月 | 絵本 | のらコアラ | クリエイティブメディア出版えほん・児童書コンテスト2017絵本部門 | 一次通貨ポシビリティ賞 |
2017年6月 | 絵 | 花粉の季節 | 第30回KFSアートコンテスト | 準入選 |
2017年6月 | 絵 | あ・カーリング | 第30回KFSアートコンテスト | 入選 |
2017年7月 | 絵 | アジの開き | 第五回富弘美術館詩画の公募 | 入賞 |
2017年7月 | ポップアップ絵本 | くももくもく | 第7回岐阜女子大学手づくり絵本コンクール | 特別賞 |
2017年9月 | 絵 | ハナシカ | 20回KFSコミックイラストグランプリ | 入選 |
2017年10月 | ポップアップ絵本 | ともこちゃんのランドセル | 第2回手づくりしかけ絵本コンクール(三条市) | しかけ部門賞 |
新田一良 さんの作品

『うみでのうわさ』
2017年出品作品/金賞受賞
海の中では最近見たことがない魚を見かけるという噂が……魚達が口々にあげる変わった特徴にタツノオトシゴは混乱します。どうやらそれは人間という動物だったようです。


『おばけアパート』
2016年出品作品/銀賞受賞
町外れの雑木林の後に建ったアパート。そこに泥棒が入って散々驚かされたあげく捕まります。なんといってもお化けが管理人を務める世界一安全なアパートですからね。

インタビュー
はじまり

- ────
- 絵本づくりをはじめられた
きっかけを教えてください。
- 新田一良
- 息子たちの保育園時代に
彼らが出てくる絵本を作ったのが
はじまりです。
- ────
- 絵本館のコンクールに応募された
きっかけを教えてください。
- 新田一良
- 特に目的もなく
しかけ絵本を作ったのですが、
出来上がったらどこかに出して見たくなって
応募先を探していたら絵本館のコンクールをみつけました。
一般絵本のコンクールは多数あるのですが、しかけ絵本のコンクールは当時、絵本館が唯一といってもよかったのではないでしょうか。
制作時間と突破口

- ────
- 絵もしかけもオリジナルのしかけ絵本を
毎年ご応募して下さっていますが、
制作にはどのくらいお時間がかかりますか。
- 新田一良
- 勤めの合間での作業で、ざっくり8ヶ月というところでしょうか。

- ────
- アイディアに困られたり、行き詰ったりすることはありますか。
またその時の解消法を教えてください。
- 新田一良
- 予想のように動かない時は、
すぐに棚上げして別のしかけ方法を考えてしまうので、困ったりすることはないといっていいと思います。
棚上げしたものは
後で降ろして考えなおしたりします。
何年も寝かせているものもあります。
と、いうより忘れていて急に解決策と共に
思い出すというかんじでしょうか。
しかけ絵本をつくりたい人に

- ────
- 初めてしかけ絵本をつくられた際に
どこからアプローチ(参考書、手法など)
されましたか
- 新田一良
- 市販されているしかけ絵本を見て
「盗み」ました。

- ────
- 年々ブラッシュアップされていますが、
「開いて」「閉じる」しかけ絵本をつくる
コツを教えてください。
- 新田一良
- なるべく組み合せ部分を多くして、
紙を折る部分を減らすようにしています。
それにより動きがスムーズになっているのではないでしょうか。
ポップアップは閉じる時に壊れることが多いのでどちらかといえば、いかにスムーズに閉じるかを優先して考えています。
制作過程

おや、まだどこにも応募していない本が写りこんでいるではないか。
- ────
- パソコンを使って制作しておられますが、使用しておられるソフト名を教えてください。
また工程の流れは?
- 新田一良
-
ソフトは「Photoshop」を使っています。
以下、工程です。- コピー用紙を使っておおまかに基本の動きを簡単に作る。
- それを元にコピー用紙に各パーツをシャーペンで書き出す。
- パソコンに取り込んで厚口ケント紙にプリント
- 作ってみて動きを確認。
- 細かいパーツを加えていって何度か繰り返す。
- 良ければパーツを製図用の細ペンで清書。
- 各パーツ内に収まる様に画用紙に絵を描く。
同時に台紙も描く。 - 清書したパーツと画用紙の絵を
パソコンに取り込んで組み合わせる。 - プリントして製作
- 完成。
ものすごくざっくりとした工程説明です。
各工程共当然一回では決まったことがありません。
何回もすこしづつ変えて試します。
途中まで行ってからかなり前工程に戻ることも多々あります。

- ────
- 「しかけ」から考えておられますか。
それとも「つくりたいもの」に合わせて
「しかけ」を考えておられますか。
- 新田一良
- しかけから考えています。
つくりたいしかけを優先して
それを無理やり繋げてストーリーをつけています。
そのため、よくストーリーが弱いと言われます。
最近はなるべくお話の方を優先させる様に意識しています。

- ────
- しかけ絵本をつくったことのない人にアドバイスをお願いします。
まずどこから始めればよいですか。
- 新田一良
- 簡単なカードみたいなものから始めるのがいいと思います。
しかけの要領がわかったら四ページ(起承転結)程度の絵本、
そのうち1ページにでもしかけが入れば立派なしかけ絵本です。
おおしま国際手づくり絵本コンクールについて

- ────
- 毎年、表彰式にお越しいただいていますが、
当館の絵本コンクールの印象を教えてください。
- 新田一良
- りっぱなコンクールで晴がましい気持ちになります。
しかけ絵本をやる人は少ないので、
しかけ絵本製作について話ができる人に会えるのが楽しみです。
- ────
- これからも絵本コンクールにご応募して下さいますか。
- 新田一良
- もちろんです!
ただし製作が間に合えばですが。
メッセージ
- ────
- 射水市大島絵本館のコンクールへ出品される方に
一言お願いします。
- 新田一良
- 人に見てもらうということを意識するだけで作品は変わります。
どしどし応募しましょう。
- ────
- 新田一良さん、ありがとうございました!

スタッフからひとこと
新田さんの作品は、毎回、本コンクールの見どころの一つです。
毎年、新しいしかけを盛り込んだ完成度の高さには驚くばかりです。
表彰式でもおなじみになりました。
これからも作品を楽しみにしています。
次回のインタビューは4月中旬公開予定です。