絵本作家インタビュー山岡ひかる
「貼り絵」ならではの味わいを表現し、
ワンシーンだけでも、だれかの心に
残り続ける絵本を描いてみたい。
プロフィール

1967年、愛知県名古屋市生まれ。
三重県四日市市にある子どもの本の専門店メリーゴーランドが主催する「絵本塾」で絵本制作にとりくみ、2000年にデビュー。
作品に『おやすみ時計』(偕成社)、『きみのえほん』(文溪堂)、『おかあさんのパンツ』『いたいのいたいのとんでいけ!』(絵本館)、『いろいろごはん』『いろいろたまご』『あーん ぱっぷん』(くもん出版)、『ぴんぽーん』『じゃーんけん』『ぽかぽかすずめ』(アリス館)、『だっこで ぎゅっ』(ひかりのくに)などがある。
絵本原画展
2025年11月8日(土)~2026年2月1日(日)
山岡ひかる先生にインタビュー
子どもの頃、お気に入りだった絵本や読み物はありますか?
うちには読み聞かせの習慣がなく、小学校で習うまで字が読めなかったので、絵が気に入った本を買ってもらって、自分でお話をつけていました。心に残っている絵はたくさんあるのに、タイトルはわからないんです。
影響を受けた作家はいらっしゃいますか?絵本以外の分野でも結構です。
陸奥A子さん、アイリーン・ハースさん。
絵本作家デビューされたきっかけは?
絵本塾で創作した絵本を講師の方が出版社に持ち込んでくださって、デビューが決まりました。画材は何を使っていらっしゃいますか?
色画用紙とスティックのりとカッターナイフです。ハサミは使いません。色鉛筆と水彩絵の具も使います。
今回、原画を展示する絵本の制作秘話や思い出を教えてください。
『フルーツスイーツのプリンセス』
それぞれのフルーツの持つイメージ重視で使用する紙の色を決めました。
これまで、食べ物の絵本は、実物を観察しながら作ってきたのですが、この作品ではそれをしていません。
イチゴは手持ちの赤い紙に、いい色がなかったため、データ修正でかなり色を変えています。ちょっぴり男梅のイチゴちゃん、ぜひ原画と比較してみてください。
『あいうえおべんとう』
こちらはリアルさにこだわって、我流で手染めした和紙をたくさん使っています。
見本をもぐもぐしながら作ったので、太りました。
なかでもキウイフルーツは力作です。黄緑の色画用紙に、茶色に染めた透け感のある和紙を重ね貼りしています。
『かきごおりのゆきだるま』
ストーリーを思いついたのはいいものの、影をどう表現するか悩んだ挙句、未来の自分に丸投げして、しばらく寝かせました。これをやると、ほとんどの場合、そのまま眠り続けることになるのですが、ある日ふいに、影から出ないように必死で歩く雪だるまが頭に浮かんで、形にすることができました。
どんな時にアイデアが浮かびますか?
散歩中や食事中、就寝中に飛び起きてメモしたこともあります。
スランプの時はどのように乗り越えられますか?
開き直って遊びます。そして……編集さんに泣きつきます。
今まで手がけられた作品の中で、一番印象深いものは?
『いろいろごはん』
初対面の編集さんが、東京から名古屋に会いに来てくださって、「今から絵本のアイデアをひとつ出してください」と、3時間もつき合ってくださったんです。なのに、結局、これといったものが決まらずに困っていたら、「また明日、同じ時間に来ます。それまでに考えておいてください」と。
帰りの地下鉄のつり革にぶら下がりながら、(ハラヘッター。コンビニでおにぎり買って帰ろうかなぁ…うちにごはんがあったらお茶漬けでもいいなぁ……はっ! これだ!)
次の日の打ち合わせでは、『いろいろたまご』も作ろうということに決まりました。
作品作りのこだわりや絵本を通じてお伝えになりたいことは?
「こだわり」は、貼り絵ならではの味わいを表現することです。でも、私にはどうにもできないことも多々あって、印刷オペレーターさんのお力に頼る部分も大きいです。
今まで「伝えたいこと」を考えてから制作した経験がないので…でも、そう意識してみたら、違った方向性の絵本を思いつくかもしれませんね。やってみます!
今後どのような絵本を描いてみたいですか?
ワンシーンだけでも、だれかの心に残り続ける絵本です。
絵本作家以外でやってみたいお仕事はありますか?
何日も本気で考えてみて、びっくりしました。ひとつも思いつきません。余談ではありますが、絵本作家になる前にやっていて、一番好きだったお仕事は、まかないが美味しい飲食店での接客業務です。
ご趣味についてお聞かせください。
動画鑑賞です。
アニメが苦手で、もう何年も見ていなかったのですが、甥っ子に勧められて渋々見たアニメにどハマりして以来、食わず嫌いしてきたジャンルを積極的に見るようになりました。
こんな面白いものを知らなかったなんて!の連続です。お好きな言葉を教えてください。「ありがとう」。
ファンの皆さんへメッセージをお願いします。
制作ペースが年々遅くなっているというのに、やたらと時間のかかりそうな絵本を思いついてしまいました。次作でお目にかかれるのは、かなり先になりそうですが、私のこと、忘れないでくださいねー!
山岡ひかる先生、ありがとうございました!