絵本作家インタビュー谷口智則

単なる娯楽だけにとどまらない、
普遍的なテーマで何年経っても色褪せない、
そして開くたびに
新しい感動があるようなものが作りたいです。
プロフィール

1978年生まれ。金沢美術工芸大学日本画専攻卒業。2004年『サルくんとお月さま』で絵本作家としてデビュー後、フランスで絵本『CACHE CACHE』を始め数々の絵本を出版。その後イタリア、台湾、中国、カンボジアなど海外でも数々の絵本を出版し世界で活動している。絵本以外にも、広告やパッケージデザイン、商業施設の空間プロデュースなど多方面で活躍中。主な絵本に『100にんのサンタクロース』『サルくんとバナナのゆうえんち』(文溪堂)など。『くいしんぼうのクジラ』(あかね書房)で第9回、『カメレオンのかきごおりや』(アリス館)で第12回ようちえん絵本大賞受賞。大阪府四條畷市のPR大使も務め、四條畷神社参道に自身のギャラリーカフェzoologique(ズーロジック)も運営している。「絵本作家 谷口智則展~いろがうまれるものがたり~」が全国の美術館を巡回中。
絵本原画展
2025年2月8日(土)~3月30日(日)





谷口智則先生にインタビュー
子どもの頃、お気に入りだった絵本や読み物はありますか?
『トムソーヤの冒険』、『宝島』など、海外の冒険物の童話や、「ズッコケ三人組」シリーズが好きでした。
影響を受けた作家はいらっしゃいますか?
絵本以外の分野でも結構です。
長谷川等伯、琳派(桃山時代から江戸時代にかけて発展した日本美術の流派)、チャールズ・キーピング、レオ・レオニ。
絵本作家デビューされたきっかけは?
大学4年生の時に独学で作った絵本『サルくんとお月さま』を大学卒業後に絵本のコンテストに応募したところ、受賞して出版が決まりました。
画材は何を使っていらっしゃいますか?
黒の画用紙に6色のターナーのアクリル絵の具(赤、青、黄色、白、イエローオーカー、ローズ)と墨汁で描いています。
今回、原画を展示する絵本の制作秘話や思い出を教えてください。
『カメくんとアップルパイ』
友人のパティシエが作るアップルパイを見て亀の甲羅みたいだなと思ったことをきっかけにアイデアを膨らませて作りました。
『かいじゅうのすむしま』
息子がまだ小さい頃に、テレビで流れる大雨の被害のニュースを見て「めちゃくちゃ大きな傘があったら、この大雨防げるのにな」と言ったことをきっかけに、かいじゅうが島を大雨から守る大きな傘のシーンが生まれました。
昨今の自然災害や、環境問題、戦争などこれからの地球のことを危惧して作りました。
どんな時にアイデアが浮かびますか?
夜中にふと目を覚ました瞬間に物語が降りてきます。
あとは子どもたちが発した言葉からも着想を得ることもあります。
今まで手がけられた作品の中で、一番印象深いものは?
『サルくんとお月さま』(文溪堂)です。
金沢美術工芸大学の日本画専攻在学中に日本画の卒業制作をやりながら、自宅に戻って、独学で絵本の制作をしていて完成させた絵本です。絵本の作り方の右も左もわからない中で、図書館や本屋さんの絵本をお手本に作りました。絵が完成したあとに、絵だけで伝わると思い、文字を全て省きました。
作品作りのこだわりや絵本を通じてお伝えになりたいことは?
子どもから大人まで年齢を問わず、世界中の方々に伝えていけるような絵本作りがしたいです。
単なる娯楽だけにとどまらない、普遍的なテーマで何年経っても色褪せない、そして開くたびに新しい感動があるようなものが作りたいです。
今後どのような絵本を描いてみたいですか?
少ない言葉で絵だけでも伝えていけるような絵本です。
絵本作家以外でやってみたいお仕事はありますか?
絵本作家以外に、すでにカフェもやっていますし、ギャラリーもやっていますし、民藝や書籍などを扱うセレクトショップもやっていて、カフェではラテアートや、クッキーなども自分で作っているので、好きなことを全て仕事にしています。
地元のPR大使もやっているのでまちづくりにも貢献しています。
新たにやってみたいこととなれば、漁師とか?(船酔いがなければ)ですかね。
ご趣味についてお聞かせください。
仕事柄海外や地方などにもよく行くので、その地域で昔から続いている民藝などの手仕事を見せてもらったり、それを集めたりすること。あとはその地方の地酒とお料理をいただくこと。
お好きな言葉を教えてください。
吾唯足るを知る。
ファンの皆さんへメッセージをお願いします。
これからも自分にしか作れない絵本の世界を作っていきたいと思っています。毎回いろいろな主人公が登場しますが、その主人公一人一人が輝けるような絵本作りをしたいと思っていますので、これからも応援よろしくお願いします。
谷口智則先生、ありがとうございました!