こころ育てる絵本との出会い

マグちゃん通信

2024 12 - 2025 01 vol.89

絵本作家インタビューおくはら ゆめ

マグちゃん通信vol.89 表紙『おしょうがつのかみさま』(大日本図書)より
89 表紙『おしょうがつのかみさま』(大日本図書)より

この世に小さな楽しみがたくさんあると

いいなあと思っているので、

ささやかでくだらない絵本を作りたいです。

プロフィール

おくはら ゆめ

1977年兵庫県生まれ。絵本作家。Eテレ「おかあさんといっしょ」の月の歌の歌詞やイラストも手がける。

『くさをはむ』(講談社)で講談社出版文化賞絵本賞、『シルクハットぞくはよなかのいちじにやってくる』(童心社)で日本絵本賞、童話『わたしといろんなねこ』(あかね書房)で小学館児童文化出版賞を受賞。絵本に『やきいもするぞ』(ゴブリン書房)、『ようかいしりとり』(こぐま社)、『まんまるがかり』(理論社)、『くろいながい』(あかね書房)、童話に『よるのまんなか』(理論社)、『きつねのしっぽ』(小峰書店)、『つっきーとカーコ』(佼成出版社)シリーズなどがある。

絵本原画展

2024年11月30日(土)~2025年2月2日(日)

『おしょうがつのかみさま』
『おしょうがつのかみさま』 『おしょうがつのかみさま』
『おしょうがつのかみさま』 大日本図書 毎年、かみさまは、姿を変えてやってくるんだって。みんなで一緒に、もちつきして、たこあげして…お正月の楽しくって、の~んびりな気分をまるごと味わえる絵本。
『いろいろクリスマスツリー』 『いろいろクリスマスツリー』
『いろいろクリスマスツリー』 アリス館 リスのツリーは、どんぐりいっぱい。魚のツリーは、真珠でキラキラ。ヤドカリの海辺のツリーは? 場所も飾るものも、みんないろいろ。きみは、どんなツリーをかざりたい?

おくはら ゆめ先生にインタビュー

子どもの頃、お気に入りだった絵本や読み物はありますか?

『長くつ下のピッピ』や『モモ』です。小学6年生まで母子家庭で育ったからなのか、親がそばに居なくても楽しく生きている主人公たちに「大丈夫」って手を繋いでもらったような気持ちになりました。

影響を受けた作家はいらっしゃいますか? 絵本以外の分野でも結構です。

長新太さん。『なんじゃもんじゃ博士』っていう四コマ漫画を読んだ時、〝すっとんきょう〞と〝優しさ〞が同時に押し寄せて来て、いたく感動しました。絵本だと『そよそよとかぜがふいている』が大好きです。

絵本作家デビューされたきっかけは?

絵本コンペで入選して、持込みを見てくださる編集者さんが増えたからです。絵本コンペで選外だった頃はなかなか直接見てもらえる機会がなかったです!

画材は何を使っていらっしゃいますか?

今のところ日本画用の絵の具か、アクリル絵の具。その作品に合いそうな方で描いています。クレパスも少しだけ混ぜる事が多いです。

最近、初めてペン画に挑戦しました!(2024年秋に出る予定の童話です)

なかなか本番で使う機会がないけれど、鉛筆の線も好きです。

今回、原画を展示する絵本の制作秘話や思い出を教えてください。

『おしょうがつのかみさま』

最初は絵本ナビというサイトで、トートバッグを作ることになって、グッズのための絵として描きました。それを見た編集者さんが「絵本になりそう」っておっしゃってくださって、トントン拍子で絵本になりました。(「絵本になりそう」とよく言われるのですが、できた例がないので、とても珍しい出来事です(笑))

年間行事の中でお正月が子どもの頃からいちばん好きだったから、お正月の思い出やのんびりした空気感をつめこみました。

『おてがみさがし』

息子が文字に興味を持ち始めた頃に、実際にやった遊びが発端です。お手紙に簡単な絵と文字のヒントがあって、そこを探すと新しいお手紙があり、それをたどっていく遊びです。

絵本では外にも出かけていきますが、息子とやった時は、コロナ禍もあって家の中でやりました。最後におやつにたどりつくように、お手紙をつなげていったのですが、目をキラキラさせていた息子の顔が忘れられません。

どんな時にアイデアが浮かびますか?

子どもが生まれる前は、ボーッとしている時に浮かびました。

今は、ほとんどボーッとする時間がないので、とりあえずスケッチブックに落書きして、手を動かしながら考えています。

今まで手がけられた作品の中で、一番印象深いものは?

『ワニばあちゃん』

絵本作家を目指している頃、フリーマーケットで手づくり絵本を売っていたのですが、『ワニばあちゃん』ができた時、読んでくれた人が声を出して笑ったり、他の人も呼んで来てくれたり、それまで作っていた絵本と違う反応でした。亡くなった祖母を想っている時にできたお話だったのですが「こういう風に作っていいんだ」って、うまく言葉にはできないのですが、なにか作るコツのような物を掴めたような気がしたんです。

その後、何年かしてこの絵本でデビューしたので、今でもばあちゃんパワーだと思っています(笑)。

作品作りのこだわりや絵本を通じてお伝えになりたいことは?

この世に小さな楽しみがたくさんあるといいなあと思っているので、ささやかでくだらない絵本を作りたいです。

今後どのような絵本を描いてみたいですか?

売れる絵本!

今まであんまり「売れそう」を意識したことがないけれど、自分の「好き」にこだわって作った本が何冊か絶版になり、せつなかったので、「好き」も大事にしつつ、「売れそう」も工夫してみたいです。でも「ささやかでくだらなくて売れる絵本」って、どんなだろう? って謎に包まれています(笑)。

絵本作家以外でやってみたいお仕事はありますか?

言葉を考えるのが好きなので、新商品のビールやお菓子の名前をつけたり、マンションポエムを作ったりしてみたいです。

料理しながらお酒を飲むのも好きなので、週一だけの小料理屋さんもいいなあ。

老後は子ども向けの漫画喫茶がやりたいです。おすすめの漫画や本を並べて、卓球やビリヤードができるような広い部屋もあるけど、一人になれる秘密部屋もあって、何かお手伝いしてくれたらおやつが出るシステムにしようと企んでいます。

ご趣味についてお聞かせください。

漫画を読む、犬の散歩、旅、サウナ、ビリヤード、古典フラ。

自分の体を素直にまっすぐ動かす事に興味があります。

お好きな言葉を教えてください。

ぱぴぷぺぽ

ファンの皆さんへメッセージをお願いします。

いつもありがとうございます♡

本を読んでもらえてうれしいです。これからも楽しんでもらえるように一生懸命作ります。

おくはら ゆめ先生、ありがとうございました!