こころ育てる絵本との出会い

マグちゃん通信

2024 10 - 11 vol.88

絵本作家インタビューおおで ゆかこ

マグちゃん通信vol.88 表紙『いろいろおかしパーティー』(アリス館)より
表紙『いろいろおかしパーティー』(アリス館)より

読んでいると大人でも童心に戻れる、

そしてその中から生まれる思いやりや

何事も諦めない心を伝えられたら

素敵だな、と思っています。

プロフィール

おおで ゆかこ

1986年大阪府生まれ。兵庫県在住。京都精華大学卒業後、イラストレーター、絵本作家として活躍。

絵本のほか、文房具や雑貨のイラストとデザイン、ぬいぐるみの販売など幅広い分野で活動中。

2017年ニベアクリーム限定デザイン、2019年森永ビスケットコラボパッケージ、2019年よりメリーチョコレートクリスマスパッケージ担当。

著書に『シロクマくつや』シリーズ(偕成社)、めくるしかけ絵本『プレゼント、あけてみて!』穴あきめいろ絵本『ミルフィのたからさがし』(あかね書房)、『いろいろクリスマスツリー』『いろいろおかしパーティー』(アリス館)などがある。

絵本原画展

2024年9月28日(土)~11月28日(木)

『いろいろおかしパーティー』
『いろいろおかしパーティー』 アリス館 チョコレート、キャンディ、マシュマロなど、いろいろなおかしのパーティーがひらかれています。遊ぶものや乗り物までおかしの形!
『いろいろのりもののりたいな』
『いろいろのりもののりたいな』 アリス館
『いろいろクリスマスツリー』 『いろいろクリスマスツリー』 『いろいろクリスマスツリー』
『いろいろクリスマスツリー』 アリス館 リスのツリーは、どんぐりいっぱい。魚のツリーは、真珠でキラキラ。ヤドカリの海辺のツリーは? 場所も飾るものも、みんないろいろ。きみは、どんなツリーをかざりたい?

おおで ゆかこ先生にインタビュー

子どもの頃、お気に入りだった絵本や読み物はありますか?

『エルマーのぼうけん』シリーズ(福音館書店)や、『まどからおくりもの』(偕成社)、『ボタンのくに』(こぐま社)、『ジャイアントにきをつけろ!』(偕成社) などです。

影響を受けた作家はいらっしゃいますか? 絵本以外の分野でも結構です。

母がたくさん集めて観せてくれたディズニー映画が幼少期から大好きでした。ディズニーの影響は大いに受けているかと思います。

絵本作家デビューされたきっかけは?

当時、『シロクマくつや』の元になったオリジナル作品を様々な絵本の出版社へお送りしていたところ、偕成社さんが声をかけてくださいました。

元々偕成社さんの絵本が好きでたくさん持っていたので、ご連絡を頂いた時には感激したことを覚えています。

画材は何を使っていらっしゃいますか?

水彩、不透明水彩、アクリル絵の具を自由に使って描いています。絵本の下書きやイラストの仕事をする時はiPad のProcreateというソフトを使用し制作することが多いです。

今回、原画を展示する絵本の制作秘話や思い出を教えてください。

『いろいろおかしパーティー』

その名の通りいろいろなおかしのパーティーの場面が登場するのですが、その場面に出てくるお菓子の表現やアイデア出しには苦労しました。制作途中で終わりが見えず、「なぜ私はこんなに細かい絵を描いているんだろう…」と立ち止まりそうになることもありましたが、仕上がった絵本を眺めていると大きな達成感を感じることができました。

また、表紙の背景の空色は最初はビビットなピンク色でどちらかというと女の子向けのイメージだったのですが、男女関係なく愛される絵本にしたいという思いから黄色になりました。

『いろいろクリスマスツリー』

クリスマスは幼少期にとても楽しかった思い出があります。家族でキラキラしたオーナメントをツリーに飾るのはとても楽しく幸せな時間でした。

ツリーの中に動物のおもちゃを置いて家にしたりして遊んでいた時もありましたが、その時の遊びも絵本に活かされているように感じます。この絵本のアイデア出しはあまり苦労しませんでした。

この作品はアリス館さんから出た初めての絵本です。編集さんとは親しくさせて頂いていて、打ち合わせで東京からわざわざ自宅へお越し頂くことも。いつもお菓子を食べながら半分程は雑談ですが、その雑談の中から生まれる絵本のアイデアなどもあり、ゆったりとした楽しい時間です。

どんな時にアイデアが浮かびますか?

5歳の娘との遊びの中で浮かぶことがあります。自分が子どもの目線に立つことで、子どもならではの柔軟なアイデアが浮かぶように感じます。

また、自身の過去のオリジナルイラスト作品を見直しているとその作品からストーリーを思いつくことがあり、そこからアイデアが生まれることも時々あります。

今まで手がけられた作品の中で、一番印象深いものは?

今回の展示作品、『いろいろおかしパーティー』は、特に私の好きな世界観を全面に盛り込んだ作品で思い入れがありますが、制作に特に苦労し印象に残っている作品は『プレゼント、あけてみて!』(あかね書房)ですね。この作品はデビュー作『シロクマくつや』(偕成社)の次に出した2作目の自作絵本です。めくるしかけ絵本なのですが、めくったパーツの裏側と表側の絵柄のズレ、パーツ表側と貼り付けるページの絵柄とのズレなどが生じ、その度に細かく微調整をしました。

編集の方もつきっきりで私のこだわりに応えてくださり、最終的にはとても良い作品に仕上げることができました。

作品作りのこだわりや絵本を通じてお伝えになりたいことは?

まず自分が好きな世界を表現できているか、ということが一番大事なことです。

読んでいると大人でも童心に戻れる、そしてその中から生まれる思いやりや何事も諦めない心を伝えられたら素敵だな、と思っています。

子どもは意外と細かい部分までよく観察しているので、制作に時間は掛かりますが細部に至るまで丁寧にこだわりを持って描くということをモットーにしています。

幼少期から大人になるまでずっと印象に残っている絵本は、細部までこだわりの感じられる作品だったからという理由もあります。

ご趣味についてお聞かせください。

最近はパン作りが好きで、うまく焼ければ朝食に食べています。特にフランスパンが美味しく焼けるようになってきました。

高校生の頃に入っていた部活の陶芸も再開したのでまた時間を作って制作しに行きたいと思っています。

お好きな言葉を教えてください。

『初志貫徹』。やるぞと決めたことは最後までやりきることを心がけています。いつでもブレない心を持ちながら制作に励みたいです。

ファンの皆さんへメッセージをお願いします。

私が子どもの頃に感じた絵本の中で無限大に広がる自由で楽しい世界を、少しでもお伝えしていければ幸せです。

これからも子どもから大人まで幅広い世代の方に楽しんで頂ける絵本を描いていきたいと思っています。今までも私の絵本に興味を持ち、手に取ってくださった皆様には心から感謝しています!

子どもたちが素敵な世界にたくさん触れ、心豊かに過ごせますように。

おおで ゆかこ先生、ありがとうございました!