絵本作家インタビューコヨセ・ジュンジ
子どもには、今、子どもで良かったなあと
思えるように。
大人には、子どもだった事を忘れないでね、
と伝えたい。
プロフィール
1949年生まれ。福岡県出身。セツ・モード・セミナー卒。雑誌『アン・アン』『セサミ』『BMWバイクス』等でイラストレーションを描く一方、単行本の装丁や表紙画を手がけ、児童書の仕事に『家出の日』(徳間書店)の挿絵、絵本の仕事に「おたすけこびと」シリーズの絵や『こうじのくるま』(WAVE出版)などがある。「おたすけこびと」シリーズはこれまで6カ国で出版され、ホーンブック誌の2008年のベストブックスに選ばれるなど、好評を博している。
絵本原画展
2024年7月24日(水)~9月26日(木)
コヨセ・ジュンジ先生にインタビュー
子どもの頃、お気に入りだった絵本や読み物はありますか?
私が通っていたひかり幼稚園には「岩波の子どもの本」がだいたいそろっていたと思う。
好きだったのは外国のものばっかり。『はなのすきなうし』『こねこのぴっち』『どうぶつ会議』『ちいさいおうち』『ひとまねこざる』などなど。
影響を受けた作家はいらっしゃいますか?絵本以外の分野でも結構です。
まず、セツ・モード・セミナーの先輩でもある柳生弦一郎さん。高校の頃からファンでした。その柳生さんが教えてくれた数々のイラストレーターたち。特に雑誌「ザ・ニューヨーカー」の表紙を飾っていたソール・スタインバーグ、アンドレ・フランソワ、ジャン=ジャック・サンペ、ロナルド・サール、ジェームス・サーバーなど。
ほかにも数えきれないくらいの画家や偶然見かけた幼児が描いた絵からも影響を受けました。
絵本作家デビューされたきっかけは?
オートバイ雑誌の仕事で、オートバイを「ものすごく線の多い物体」として面白がって描いてました。その絵が中川ちひろさんの働くクルマが活躍する新しい絵本の絵を描く人間を探していた徳間書店の編集部の目に留まったようです。
画材は何を使っていらっしゃいますか?
水彩絵具とインクを使ってケント紙に描いています。
今回、原画を展示する絵本の制作秘話や思い出を教えてください。
『おたすけこびと』
最初、色とりどりの米粒ぐらいの大きさのこびとたちが集まったり、散ったりする動きの面白さを考えていたのですが、中川さんからひとりひとり顔があって表情もあるこびとにしてほしい…という譲れない条件を出され、ぴんとこないで、すり合わせに苦労しました。
でもお互いに納得できる絵ができたのは良かったです。
『まちのくるま』
写真だと影になってただ黒っぽいだけになってしまう部分まで微に入り細にわたり全部描くと、それで新しく働くクルマの素晴らしさがわかる、という感じで始めたので、その微と細の資料や実際のクルマを探すのに苦労しました。
どんな時にアイデアが浮かびますか?
「おたすけこびと」シリーズは、二作目からは定期的に中川さんの原案をもとに「カイギ」をしています。私が描いていったラフを見てケンケンガクガク話し合います。その会議で人の意見を聞いてポッとアイデアを思いついたり、家でボンヤリしている時に突然浮かんだり…です。今まで手がけられた作品の中で、一番印象深いものは?『おたすけこびとのまいごさがし』を描いている時です。公園を舞台にして展開するお話です。
ラフの段階で公園に花が咲いている一本のサルスベリを描きました。夏の雨降りの設定で公園のベンチの前に水たまりを描きました。雨が上がって、その水たまりには青空が映るかなあと思いながらそのベンチに座った気になって、ふと上を見上げたら、思いがけずそこには満開のサルスベリの花が!目から水がこぼれそうになりました。作品作りのこだわりや絵本を通じてお伝えになりたいことは?
子どもには、今、子どもで良かったなあと思えるように。大人には、子どもだった事を忘れないでね、と。
今後どのような絵本を描いてみたいですか?
内緒です。ウソです(笑)。
ただひたすら遊ぶ一日を描きたいと考えるのですが、うまく実を結びません。
絵本作家以外でやってみたいお仕事はありますか?
一枚絵の画家です。
ご趣味についてお聞かせください。
かつてはオートバイに乗ることでした。速く走るのではなくて、その鼓動を感じながらノンビリ走るのを楽しんでいましたね。
20年乗った愛車を手放してからは乗っていません。今は映画や展覧会を見ることぐらいかなあ。食器を洗うのは好きです。水に触れているというのが心の安定に良いようです。きれいな川の中を泳ぐ小魚を見る、なんてとても好きです。
お好きな言葉を教えてください。
たくさんありすぎて選べません!
ファンの皆さんへメッセージをお願いします。
大事な大事な皆様、ありがとうございます。
コヨセ・ジュンジ先生、ありがとうございました!