こころ育てる絵本との出会い

マグちゃん通信

2023 4 - 5 vol.79

絵本作家インタビューさとうめぐみ

マグちゃん通信vol.79 表紙『バナナくん』より
表紙『バナナくん』より

読者のお子さんたちの可愛い姿を想像しながら、

制作する日々。「もういっかいよんで!」と

言ってくれるような絵本にしたいです。

プロフィール

さとうめぐみ

東京都生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科日本画専攻修了。動物をモチーフに、日本画表現による発表と絵本創作を続けている。絵本作品に『バナナくん』などの「おいしいもり」シリーズ(PHP研究所)、『まじょのほうき』などの「まじょ」シリーズ、『あひるのあーちゃんあいうえお』(ハッピーオウル社)、『ごきげんぶーた』『くものこくー』シリーズ、『ケーキちゃん』などの「スイーツ」シリーズ、『パンのようちえん えんそくにいく』『てっかくん』(教育画劇)、『おべんとう』『どうぶつパンやさん』(ひかりのくに)、『ゴチソウドロどこにいる?』(すとうあさえ/作 くもん出版)、『ピンポーン!つぎとまります』(五味ヒロミ/文 交通新聞社)ほか。『まじょのほうき』で第4回ようちえん絵本大賞受賞、『おべんとう』(ひかりの くに)で第9回MOE絵本屋さん大賞2016パパママ賞受賞。東京家政大学日本画講師。

絵本原画展

2023年4月1日(土)~5月30日(火)

『バナナくん』 『バナナくん』
『バナナくん』 PHP研究所 バナナくんは、虫が苦手でちょっと臆病な男の子。おいしいもりで、果物や野菜たちとかくれんぼをしていると、「いいにおいだな〜」とコバエが近づいてきました。驚いたバナナくんが悲鳴をあげると、果物や野菜たちが助けにやってきましたが…。
『ケーキちゃん』 『ケーキちゃん』
『ケーキちゃん』 教育画劇 みんなが大好きなケーキの絵本。ケーキちゃんのあたまのうえには、ママがかざってくれたすてきなかざりがいっぱい。ケーキちゃんは、みんなにほめられるとかざりをどんどんわけてしまい…。

さとうめぐみ先生にインタビュー

子どもの頃のお気に入りの絵本は? 絵本との出会いは?

初めての絵本との出会いは、ディック・ブルーナさんの「うさこちゃん」シリーズです。繰り返し読んで、あのシンプルな絵柄に色々な想像を膨らませていました。

その後、幼稚園で配布されていた「こどものせかい」と出会い、柿本幸造さんの「どんくまさん」シリーズや、木村泰子さんの不思議な動物や独特の世界観が大好きで読み耽っていました。この辺りが原点でしょうか。

影響を受けた作家はいらっしゃいますか? 絵本以外の分野でも結構です。

日本画を描いていた学生時代は、クリムトやホドラー等の世紀末芸術が好きでした。日本画では伊藤若冲や竹内栖鳳など、動物の描写の上手い人の作品をよく見ていました。絵本作家だと、エッツやツヴェルガーが好きです。

絵本作家デビューされたきっかけは?

日本画では主に動物を描いているので、よく動物園にスケッチをしに行っていました。ある日、飼育員さんに「スケッチを見せて」と声をかけられ、見せると「僕の本の挿絵を描いてみない?」と言われました。その方が数々の動物図鑑の監修をされている小宮輝之さんでした。小宮さんの絵本図鑑の挿絵を描いたのをきっかけに、絵本の世界に入っていきました。

画材は何を使っていらっしゃいますか?

主に水彩色鉛筆です。他にガッシュや透明水彩を使っています。最近は顔彩など日本画の画材も使っています。

今回、原画を展示する絵本の制作秘話や思い出を教えてください。

『ケーキちゃん』

娘が小学生の頃、スイーツデコを作っているのを見ていて、この子たちが動き出してしゃべったら、どんなに可愛いだろうと思ってできたのが「ケーキちゃん」です。

『バナナくん』

「おいしいもり」シリーズの常連、名脇役(?)にもスポットライトを当てたいと思いました。細長くて自立できない、ちょっと頼りない感じのバナナくんが、勇気を出して活躍する成長ストーリーにしたかったです。

どんな時にアイデアが浮かびますか?

一番多いのはお風呂の湯船の中です。「レモンちゃん」もお風呂で生まれました。その次が眠る直前でしょうか。飛び起きてラフを作ったことも何度かあります。リラックスしている時がいいんでしょうね。

スランプの時は、どのように乗り切りますか?

絵本ではお話作りに悩むことはあっても、スランプを感じたことはないんです。

昔、芸大受験の課題では何度もありました。スランプでも描け!というのが当時の根性論?でしたので、辛かったです。

今まで手がけられた作品の中で、一番印象深いものは?

一番と言うと難しいのですが、スイーツシリーズは2人の子どもと一緒に作った感じがあり、楽しい思い出とともに印象深いです。上の娘がダメ出しの多い辛口の編集者、下の息子が何でも褒める大甘の編集者でした。時と場合で編集者を使い分けていました(笑)。

作品作りのこだわりは?

読み聞かせる方はたいへんかもしれませんが、お子さんが「もういっかいよんで!」と言ってくれるような絵本にしたいです。

今後どのような絵本を描いてみたいですか?

まだ誰も描いていないような絵と内容の絵本にチャレンジしたいです。

絵本作りのこだわりは?

読み聞かせる方はたいへんかもしれませんが、お子さんが「もういっかいよんで!」と言ってくれるような絵本にしたいです。

絵本作家になっていなかったら、どんなお仕事をしていたでしょう?

子どもの頃は絵を描くのと同じくらい、詩を書いたりお話を作るのが大好きでした。詩人か童話作家でしょうか?

でも、もし生まれ変わるなら歌手がいいです。音楽が好きなのですが、才能が全くないので(笑)。

ご趣味についてお聞かせください。

仕事が趣味の延長のようなところがあるので、これといった趣味はないのですが、料理や手芸、DIYなど、作ることはなんでも好きです。

お好きな言葉を教えてください。

「人生に失敗がないと人生を失敗する」

今までいっぱいしてきた失敗の正当化と、これからも果敢にチャレンジしたいと言う気持ちを込めて(笑)。

ファンの皆さんへメッセージをお願いします。

いつも読んでくださりありがとうございます。自分の子どもが大きくなってしまった今、読者のお子さんたちの可愛い姿を想像しながら、ニマニマと制作する日々です。

これからもどうぞよろしくお願いします!

さとうめぐみ先生、ありがとうございました!