絵本作家インタビューシゲリカツヒコ

「ユーモア」は生きるうえで、とても大切なもの。
これからも全身全霊込めて細部まで楽しめる
ユーモアのある絵本を作っていきます!
プロフィール

1962年生まれ。岐阜県各務原市出身。阿佐ヶ谷美術専門学校卒業後、フリーのイラストレーターとして装画などを手がける。『カミナリこぞうがふってきた』(ポプラ社)でデビュー。細部までとことん描写する緻密なタッチと奇想天外なストーリー展開で、絵本ファンを魅了する。2018年『大名行列』(小学館)で小学館児童出版文化賞を受賞。他の作品に『だれのパンツ?』『なわとびょ~ん』(KADOKAWA)、『ごじょうしゃありがとうございます』『ガスこうじょう ききいっぱつ』(以上、ポプラ社)、『バスガエル』(作・戸田和代/佼成出版社)、『ぼくはまいごじゃない』(作・板橋雅弘/岩崎書店)がある。
絵本原画展
2023年2月4日(土)~3月30日(木)





シゲリカツヒコ先生にインタビュー
子どもの頃、お気に入りだった絵本や読み物はありますか?
子どもの頃は、物語の絵本は、ほとんど読んだことはないです。
そのかわり、人体図鑑と恐竜図鑑は穴の開くほど眺めてました。
細かく表現された骨や内臓、うろこが一枚一枚描かれたイラストが好きでしたね。
影響を受けた作家はいらっしゃいますか? 絵本以外の分野でも結構です。
マンガ家の川崎のぼるさん。小学生の時『荒野の少年イサム』の模写ばっかりしてました。漫画家になるのが夢でした。
絵本作家デビューされたきっかけは?
2010年頃までイラストレーターの仕事だけをしておりました。
その頃、ポプラ社の編集の方に、児童書の挿絵を頼まれまして、仕事のついでに「作・絵の絵本を出してみたい!」との気持ちを伝えました。快く受けてもらい、スケッチのやり取りをして、初の絵本を出版させていただきました。
特に売り込みなどもせず、本当にラッキーでした。
画材は何を使っていらっしゃいますか?
画用紙にアクリル絵の具(リキテックス)を塗っていきます。
今回、原画を展示する絵本の制作秘話や思い出を教えてください。
『なわとびょ〜ん』
子どもの頃から、運動全般が苦手でした。もちろん「縄跳び」も(笑)。不思議な力でうまく飛べるようになるお話があれば痛快だなあーと。
そして、絶対に、縄跳びなどしないようなものたちが、ページをめくるといっせいに飛んでいる、という面白さを表現しました。
『だれのパンツ?』
最初の絵本もそうなのですが、オニさんとヒョウ柄パンツを描くのが好きなんです。
謎をどんどん追って行って、最後、意外なオチをみて、笑っていただきたい、という思いです。
どんな時にアイデアが浮かびますか?
編集の方と打ち合わせしているときに、思いつくことが多いです。
一人で考えていると、アイデアが変に極端な方向に行ってしまうので(それも必要なことなのですが)うまくかじ取りをしてもらうと、いいものができます。
さらに、全く仕事と関係のないお話の中にヒントがあったりします。
スランプの時は、どのように乗り切りますか?
スランプはあまり意識したことはないのですが、気持ちより行動優先です。とにかく手(筆)を動かすことですね。
今まで手がけられた作品の中で、一番印象深いものは?
やはり、最初の絵本の『カミナリこぞうがふってきた』ですね。
一冊の本を一から作り上げるのは、たいへんなことも多いのですが、同時にそれ以上に喜びがありました。
直接、読者さんからの感想が聞けるのは本当にうれしいことです。
作品作りのこだわりは?
ページをめくるたびに、面白さや驚きを感じてもらえるよう、絵の構図や細部にこだわっています。
今後どのような絵本を描いてみたいですか?
ヘンテコな魅力あるキャラクターや、よくもまあ、こんなバカな世界を、緻密に描いたものだと、あきれられるようなものを描きたいです。
絵本作家になっていなかったら、どんなお仕事をしていたでしょう?
やはり、手を使って何か作るお仕事。特にコックさんに憧れます。
ご趣味についてお聞かせください。
仕事の気分転換に料理を作ることです。
お好きな言葉を教えてください。
「勇気」です。
もちろん、困難に立ち向かう勇気なのですが、描いていて、絵の中の間違っているところに、製作途中に気づいたとき、それまで完成していた部分を塗りつぶして、新たに修正する、といったことなども「勇気」が必要なんです。変化を恐れないということですね。
ファンの皆さんへメッセージをお願いします。
人間にとって「ユーモア」は生きるうえで、とても大切なものです。
これからも全身全霊込めて、細部まで楽しめる、ユーモアのある絵本を作っていきます!
シゲリカツヒコ先生、ありがとうございました!