こころ育てる絵本との出会い

マグちゃん通信

2023 2 - 3 vol.78

絵本作家インタビューシゲリカツヒコ

マグちゃん通信vol.78 表紙『なわとびょ~ん』より
表紙『なわとびょ~ん』より

「ユーモア」は生きるうえで、とても大切なもの。

これからも全身全霊込めて細部まで楽しめる

ユーモアのある絵本を作っていきます!

プロフィール

シゲリカツヒコ

1962年生まれ。岐阜県各務原市出身。阿佐ヶ谷美術専門学校卒業後、フリーのイラストレーターとして装画などを手がける。『カミナリこぞうがふってきた』(ポプラ社)でデビュー。細部までとことん描写する緻密なタッチと奇想天外なストーリー展開で、絵本ファンを魅了する。2018年『大名行列』(小学館)で小学館児童出版文化賞を受賞。他の作品に『だれのパンツ?』『なわとびょ~ん』(KADOKAWA)、『ごじょうしゃありがとうございます』『ガスこうじょう ききいっぱつ』(以上、ポプラ社)、『バスガエル』(作・戸田和代/佼成出版社)、『ぼくはまいごじゃない』(作・板橋雅弘/岩崎書店)がある。

絵本原画展

2023年2月4日(土)~3月30日(木)

『なわとびょ~ん』 『なわとびょ~ん』
『なわとびょ~ん』 KADOKAWA ページをめくるたびに笑っちゃう、ユーモア【なわとび】絵本!なわとびが苦手。そして、いばりんぼうのツヨシのことが、もっともーっと苦手なケンタ。そんなケンタの前に、おおなわをもった謎のおとこが現れて…?
『だれのパンツ?』
『だれのパンツ?』 『だれのパンツ?』
『だれのパンツ?』 KADOKAWA 空からおちてきた「パンツ」の持ち主を探すため、団地内を冒険することになった男の子。ナゾの画家にカメレオンにおばけに……さあ、いったいだれの落とし物だったのでしょうか。持ち主をさがす冒険がはじまります。空からおちてきた「パンツ」の持ち主を探すため、団地内を冒険することになった男の子。ナゾの画家にカメレオンにおばけに……さあ、いったいだれの落とし物だったのでしょうか。持ち主をさがす冒険がはじまります。。

シゲリカツヒコ先生にインタビュー

子どもの頃、お気に入りだった絵本や読み物はありますか?

子どもの頃は、物語の絵本は、ほとんど読んだことはないです。

そのかわり、人体図鑑と恐竜図鑑は穴の開くほど眺めてました。

細かく表現された骨や内臓、うろこが一枚一枚描かれたイラストが好きでしたね。

影響を受けた作家はいらっしゃいますか? 絵本以外の分野でも結構です。

マンガ家の川崎のぼるさん。小学生の時『荒野の少年イサム』の模写ばっかりしてました。漫画家になるのが夢でした。

絵本作家デビューされたきっかけは?

2010年頃までイラストレーターの仕事だけをしておりました。

その頃、ポプラ社の編集の方に、児童書の挿絵を頼まれまして、仕事のついでに「作・絵の絵本を出してみたい!」との気持ちを伝えました。快く受けてもらい、スケッチのやり取りをして、初の絵本を出版させていただきました。

特に売り込みなどもせず、本当にラッキーでした。

画材は何を使っていらっしゃいますか?

画用紙にアクリル絵の具(リキテックス)を塗っていきます。

今回、原画を展示する絵本の制作秘話や思い出を教えてください。

『なわとびょ〜ん』

子どもの頃から、運動全般が苦手でした。もちろん「縄跳び」も(笑)。不思議な力でうまく飛べるようになるお話があれば痛快だなあーと。

そして、絶対に、縄跳びなどしないようなものたちが、ページをめくるといっせいに飛んでいる、という面白さを表現しました。

『だれのパンツ?』

最初の絵本もそうなのですが、オニさんとヒョウ柄パンツを描くのが好きなんです。

謎をどんどん追って行って、最後、意外なオチをみて、笑っていただきたい、という思いです。

どんな時にアイデアが浮かびますか?

編集の方と打ち合わせしているときに、思いつくことが多いです。

一人で考えていると、アイデアが変に極端な方向に行ってしまうので(それも必要なことなのですが)うまくかじ取りをしてもらうと、いいものができます。

さらに、全く仕事と関係のないお話の中にヒントがあったりします。

スランプの時は、どのように乗り切りますか?

スランプはあまり意識したことはないのですが、気持ちより行動優先です。とにかく手(筆)を動かすことですね。

今まで手がけられた作品の中で、一番印象深いものは?

やはり、最初の絵本の『カミナリこぞうがふってきた』ですね。

一冊の本を一から作り上げるのは、たいへんなことも多いのですが、同時にそれ以上に喜びがありました。

直接、読者さんからの感想が聞けるのは本当にうれしいことです。

作品作りのこだわりは?

ページをめくるたびに、面白さや驚きを感じてもらえるよう、絵の構図や細部にこだわっています。

今後どのような絵本を描いてみたいですか?

ヘンテコな魅力あるキャラクターや、よくもまあ、こんなバカな世界を、緻密に描いたものだと、あきれられるようなものを描きたいです。

絵本作家になっていなかったら、どんなお仕事をしていたでしょう?

やはり、手を使って何か作るお仕事。特にコックさんに憧れます。

ご趣味についてお聞かせください。

仕事の気分転換に料理を作ることです。

お好きな言葉を教えてください。

「勇気」です。

もちろん、困難に立ち向かう勇気なのですが、描いていて、絵の中の間違っているところに、製作途中に気づいたとき、それまで完成していた部分を塗りつぶして、新たに修正する、といったことなども「勇気」が必要なんです。変化を恐れないということですね。

ファンの皆さんへメッセージをお願いします。

人間にとって「ユーモア」は生きるうえで、とても大切なものです。

これからも全身全霊込めて、細部まで楽しめる、ユーモアのある絵本を作っていきます!

シゲリカツヒコ先生、ありがとうございました!