こころ育てる絵本との出会い

マグちゃん通信

2022 4-5 vol.73

絵本作家インタビュー鎌田歩

マグちゃん通信vol.73 表紙表紙『せんろをまもる!ドクターイエロー』(小学館)より
表紙『せんろをまもる!ドクターイエロー』(小学館)より

最後のページを閉じたら世界を知りたくなったり、

冒険したくなるようなものになればいいな。

描かれた世界に入り込んで遊べるよう、

わかりやすく描くように意識しています。

プロフィール

鎌田歩

東京都生まれ。 『くもの大相撲』作/中脇初枝(福音館おおきなポケット) 『どうろせいそうしゃ』『新幹線しゅっぱつ!』『路線バスしゅっぱつ!』『飛行機しゅっぱつ!』『なんでもあらう』『巨大空港』『ふみきりくん』作/えのもとえつこ(以上、福音館書店) 『はしる!新幹線「のぞみ」』『はしる!新幹線「スーパーこまち」』『はしる!新幹線「かがやき」』『はしる!新幹線「はやぶさ」』(以上、PHP研究所) 『はこぶ』「うごかせ!のりもの』『すごいぞ!!きょうりゅう』『みつけた!こんちゅう』(以上、教育画劇) 『ヘリコプターのぷるたくん』『ちかてつのぎんちゃん』『せんろをまもる!ドクターイエロー』(以上、小学館) 『まよなかのせんろ』『そらのうえのそうでんせん』『雨の日の地下トンネル』『うちのくるまはバン!』(以上、アリス館) 『しゅつどう!しょうぼうたい』(金の星社) 『きゅうきゅうしゃのぴーとくん』『はしごしゃののびるくん』作/正高もとこ(以上、岩崎書店) 『18メートルの夢』(KADOKAWA) 挿絵・挿画に『歩く』(講談社) 『ダーティドラゴン』(小学館) 『SFマガジン』(ハヤカワ書房)など。

絵本原画展

2022年4月1日(金)~5月29日(日)

新幹線のお医者さん「ドクターイエロー」、富山でおなじみの「かがやき」。春のギャラリーでは新幹線をテーマにした2冊の人気絵本の原画をご紹介します。

『せんろをまもる! ドクターイエロー』(小学館)
『せんろをまもる! ドクターイエロー』 小学館 「新幹線のお医者さん」と呼ばれるドクターイエローとその仲間たちのあまり知られていない秘密のお仕事をたっぷりお見せします。
『はしる! 新幹線「かがやき」』(PHP研究所) 『はしる! 新幹線「かがやき」』(PHP研究所)
『はしる! 新幹線「かがやき」』 PHP研究所 まーくんとかなちゃんはお父さんと3人で、北陸新幹線「かがやき」に乗って東京から金沢へ行きます。美しい山々や車内を楽しめます。

鎌田歩先生にインタビュー

子どもの頃、お気に入りだった絵本はありますか?

実は絵本の記憶がほとんどなくて、あまり触れてないと思います。

挿絵の入った読み物はすごく好きで、ドリトル先生とかホームズ、怪人二十面相などを図書館で繰り返し借りていました。ハヤカワ文庫のキャプテン・フューチャーシリーズは大のお気に入りでした。

影響を受けた作家はいらっしゃいますか? 絵本以外の分野でも結構です。

たくさんいすぎて絞るのは難しいのですが、とにかく大好きで絵をまねして練習したのは安彦良和さん。小説ではリチャード・バック、ロバート・A・ハインライン。

絵本作家デビューされたきっかけは?

絵を描いて小さな画廊で発表していた頃、偶然絵本作家の出久根育さんと知り合い、編集者を紹介していただいたことで絵本の世界に出会いました。

画材は何を使っていらっしゃいますか?

アクリル絵の具、色鉛筆、マーカーなど。

作業がシンプルになるように、なるべく種類は少なくしています。

今回、原画を展示する絵本の制作秘話や思い出を教えてください。

『せんろをまもる!ドクターイエロー』

ドクターイエローを擬人化することと、ノンフィクションの部分がうまくかみ合わなくて、なかなかでき上がらず苦労した作品です。

取材を進めていくうちにドクターイエロー自身は派手な活躍をする乗り物ではないことがわかってきて、仲間たちと協力して線路を守るというテーマが見えてきました。

『はしる!新幹線「かがやき」』

取材を始めたときはまだ新幹線は開通していなくて、在来線で金沢を往復しました。豪雪の山間部を通って日本海が見えてきたときのことが印象に残っています。

「スーパーこまち」の取材では、いい構図を求めて山の中を歩いて線路を探したり、「はやぶさ」の取材では青森の竜飛岬までバスで行ったり、「はしる!新幹線」シリーズでは、普段、行かないような土地を旅するのが楽しかったです。

どんな時にアイデアが浮かびますか?

ジョギングやサイクリング、散歩しているときが多いです。

スランプの時はどのように乗り切りますか?

そんなにいいときもないので気にしたことはあまりないですが、アイデアが出ないときはまだ部品が足りないのかなと思って、無理に進めないようにしています。

あとは出版社の方は基本的に褒め上手なので、なるべく真に受けるようにしています。

今まで手がけられた絵本の中で、一番印象深い絵本は?

どの本もそれぞれにチャレンジしたことがあって思い入れがありますが、強いて挙げるなら教育画劇から刊行された『はこぶ』です。世界に対して自分が感じていることが、ある程度、表現できた気がします。

絵本をお作りになるときのこだわりや絵本を通じてお伝えになりたいことは?

絵本を作るときは、最後のページを閉じたら世界を知りたくなったり、冒険したくなるようなものになればいいなと思っています。描かれた世界に入り込んで遊べるように、わかりやすく描くように意識しています。

今後どのような絵本を描いてみたいですか?

のりもの絵本の依頼が多いですが、どのカテゴリにも分けられないようなものが作れたらいいなと思います。

絵本作家になっていなかったら、どんなお仕事をしていたでしょう?

たまたま今はこの仕事をしていますが、いろんなアルバイトをしていました。

中でも一番おもしろかったのは遺跡発掘です。恐竜化石の発掘とか憧れてしまいます。

ご趣味についてお聞かせください。

机に向かう時間が長いので、できるだけ外に出ようと思って、たまにサイクリングしています。季節が感じられて、いろんな発見もあってすごく贅沢な時間です。

お好きな言葉を教えてください。

たくさんありますが、どれかひとつと言われると難しいですね。自分の感じ方はそのときどきで変わるので…。

ファンの皆さんへメッセージをお願いします。

子どもの頃に好きだったことは、たとえ忘れてしまっても、必ずどこかで自分を助けてくれると思います。子どもたちは目いっぱい遊んで、好きなものをたくさん作ってほしいです。

鎌田歩先生、ありがとうございました!