絵本作家インタビューたかおゆうこ

「これは ときめきを感じられるか?」
いつも自問自答しながらの絵本作り。
楽しい気持ち、自由な気持ち、
新しい気持ちを届けられたら。
プロフィール

東京都生まれ。多摩美術大学グラフィックデザイン科卒業。玩具メーカーの企画デザイン室を経て渡米。カリグラフィー、水彩画、銅版画などを学ぶ。絵本に『くるみのなかには』(講談社)、『チュウとチイのあおいやねのひみつきち』『ちいさなふたりのいえさがし』こどものとも2020年3月号、『ケロケロきょうだい』こどものとも2021年4月号(以上、福音館書店)、『さんびきのこねずみとガラスのほし』(徳間書店)、「プリンちゃん」シリーズ(理論社)、『あなふさぎのジグモンタ』(ひさかたチャイルド)、『ふわふわちゃんおでかけこんにちは』(教育画劇)、『ねばらねばなっとう』(ひかりのくに)、『こいのぼりくんのさんぽ』(ほるぷ出版)、挿絵の仕事に『ねずみの家』『クリスマスの女の子』『ふしぎなようせい人形』(以上、徳間書店)、『雨がしくしく、ふった日は』(講談社)、『クリスマスのりんご』(福音館書店)など多数。
絵本原画展
2021年9月18日(土)~11月18日(木)
秋のギャラリーでは、たかおゆうこさんのファンタジックな2冊の絵本原画をご紹介。 おかしの国のハロウィンや、小さなくるみの中に広がる幸せな世界。 深まる秋とともにハッピーな絵本時間を満喫しよう。






たかおゆうこ先生にインタビュー
絵本作家になられたきっかけは?
小さい頃から絵を描くこと、物語を読むことが好きでした。大学時代にレオ・レオーニやエリック・カール、ゴフスタインなど新しいタイプの絵本に出会い衝撃を受けました。玩具メーカーのデザイナーやイラストレーターを経て、絵本のアイデアを出版社に持ち込みました。
画材は何を使っていらっしゃいますか?
透明水彩、クレヨン、水彩クレヨン、色鉛筆、水彩色鉛筆、パステル、鉛筆、ペン…あらゆる画材。ハサミ、ペーパーセメント、ペーパーボンド。紙はアルシュひとすじ。
今回、原画を展示する絵本の制作秘話や思い出を教えてください。
『プリンちゃんのハロウィン』
20代から30代の頃、アメリカに住むことになり、出産、子育てがアメリカでスタートしました。異国ではじめての子育て。孤独感でいっぱいな時に近所の人からハロウィンのパレードやパーティーに誘われて、一歳だった息子といっしょに仮装して参加しました。その時のハロウィンの楽しかった気持ちをプリンちゃんシリーズで子どもたちに伝えたいと思い、文のなかがわちひろさんにお願いしました。
『くるみのなかには』
小さい頃、冬になると長野に住む祖母が野沢菜といっしょにくるみを送ってくれました。母はそれを漬物石の上に置き金槌で砕いて中身をとりだし、ほうれんそうのくるみ和えを作るのでした。くるみはかじっても握りしめても割れることはありません。ふっくらと手をあわせた形にも似て、何か大切なものを守っているような気がしました。大人になってもそんな思いは消えず、長い間くるみの中身のことを思い続けました。そして、それが絵本となりました。
今まで手がけられた絵本の中で、一番印象深い絵本は?
どの絵本も大切で大事にしたい思い出がいっぱい詰まっていますが、中でも印象深いのは『くるみのなかには』です。
実はラフの段階ではハッキリと結末が決まっていたわけではありませんでした。人と出会い、取材を重ね、実際にくるみの木を育てながら何回も描き直していく中で結末が決まりました。それは驚きに満ちた過程でした。
絵本をお作りになるときのこだわりは?
「これは ときめくのか」といつも自問自答しながら作っています。
絵本を通じてお伝えになりたいことは?
楽しい気持ち、自由な気持ち、新しい気持ちになっていただけたら嬉しいです。
今後どのような絵本を描いていかれたいですか?
色の美しさ、自然の豊かさと不思議、想像力、多様性、自由な気持ちやユーモアを伝えられる絵本を作っていきたいです。
ご趣味についてお聞かせください。
いきもの観察。物語を読むこと。ゆっくり静かに泳ぐこと。
お好きな言葉を教えてください。
砂粒の中に世界を見、
野の花の中に天国を見る
手のひらに無限をのせ
ひとときに永遠を感じる
To see a world in a grain of sand.
And a heaven in a wild flower,
Hold infinity in the palm of your hand.
And eternity in an hour.
ファンの皆さんへメッセージをお願いします。
この秋に新しい絵本が出版されます。これも長い間抱えていた物語。綺麗なピンク色のうさぎが主人公です。手にとって楽しんでいただけたら幸いです!
たかおゆうこ先生、ありがとうございました!