こころ育てる絵本との出会い

マグちゃん通信

2021 8-9 vol.69

絵本作家インタビューじゅえき太郎

マグちゃん通信69号 表紙『すごい虫ずかん ぞうきばやしを のぞいたら』(KADOKAWA)より
表紙『すごい虫ずかん ぞうきばやしを のぞいたら』(KADOKAWA)より

とにかくカッコイイ アングルで昆虫を描こうと考えました。

こわくて虫が見られなかった方が虫を見られるようになる。

そんな風にどんどん昆虫に興味を持ってもらう

入口としての役割になれたら。

プロフィール

じゅえき太郎

撮影/後藤利江

1988年東京生まれ。イラストレーター、画家、漫画家。第19回岡本太郎現代芸術賞入選。身近な虫をモチーフに、さまざまな作品を制作している。「ゆるふわ昆虫図鑑」(@64zukan)のTwitterやInstagramで幅広い人気を集める。主な著作に絵本「すごい虫ずかん」シリーズ、『ゆるふわ昆虫図鑑 ボクらはゆるく生きている』『じゅえき太郎の 昆虫採集ぬりえ』(すべてKADOKAWA)、『ゆるふわ昆虫図鑑 タピオカガエルのタピオカ屋』『丸山宗利・じゅえき太郎の㊙昆虫手帳』『じゅえき太郎のゆるふわ昆虫大百科』(すべて実業之日本社)、『正直、仕事のこと考えると憂鬱すぎて眠れない。』(東洋経済新報社)、『昆虫戯画びっくり雑学事典』(大泉書店・共著)などがある。いちばん好きな昆虫はタガメ。

絵本原画展

2021年7月22日(木)~9月16日(木)

夏休みのギャラリーでは、虫好きの子はもちろん、虫がちょっぴり苦手な子も夢中になる、じゅえき太郎さんの原画を展示します。ふだん、じっくり見ることのできない虫の自然な姿を思う存分観察してみよう。

『すごい虫ずかん ぞうきばやしを のぞいたら』 『すごい虫ずかん ぞうきばやしを のぞいたら』
『すごい虫ずかん ぞうきばやしを のぞいたら』 KADOKAWA 夏休みにおばあちゃんちにやってきた。ぞうきばやしに遊びにいったら…カブトムシにクワガタムシ、タマムシにオオムラサキ。だいすきな虫がいっぱい! 同シリーズ作は原画とデジタルで構成。絵本と見比べて制作のひみつに迫ろう。絵のモデルとなった貴重なライブ標本も必見!
『すごい虫ずかん くさむらの むこうには』 『すごい虫ずかん くさむらの むこうには』
『すごい虫ずかん くさむらの むこうには』 KADOKAWA
ライブ標本 ゆるふわ昆虫大百科
同シリーズ作は原画とデジタルで構成。絵本と見比べて制作のひみつに迫ろう。絵のモデルとなった貴重なライブ標本も必見!
塗り絵と観察シート

ぬりえや観察シートにもチャレンジしてみよう。

ゆるふわ昆虫図鑑

Twitterなどで大人気の「ゆるふわ昆虫図鑑」。

じゅえき太郎先生にインタビュー

絵本作家になられたきっかけは?

絵本に挑戦したいと思っていたところ、編集者さんに声をかけていただきました。

画材は何を使っていらっしゃいますか?

主にアクリル絵の具などです。水彩絵の具や色鉛筆なども使うことがあります。また最近はデジタルも使っています。

いい絵にするためならどんな画材でも使いたいと思っています。

今回、原画を展示する絵本の制作秘話や思い出を教えてください。

「すごい虫ずかん」シリーズ

内容がシンプルな分、とにかくカッコイイアングルで昆虫を描こうと考えました。

そのためにライブ標本(生きているかのようなポーズの標本)をたくさん観察し、カブトムシやノコギリクワガタ、オオカマキリやトノサマバッタなどのメジャーな昆虫(僕は「スター昆虫」と呼んでいます)を描くことで、虫に興味をもってもらう最初のきっかけとなる絵本になればいいなと思いました。

「ゆるふわ昆虫図鑑」

たくさんありすぎて難しいのですが…

やはり顔を昆虫に付けたことが一番の大きな事件だと思います。昆虫の特徴を失わずに擬人化させるアイディアは小学生のころから考えていたのですが、昆虫の顔は人間や動物よりも多種多様で、なかなかいいアイディアは浮かびませんでした。しかし25歳くらいの時に今の顔を強引にはめ込んでみたところ、「これで…いいか」という気持ちになり、昆虫キャラクターの着地点を見つけた気がしました。

今まで手がけられた絵本の中で、一番印象深い絵本は?

小学館の図鑑NEO『まどあけずかん むし』です。図鑑に関われたことが非常にうれしかったです。

またテレビCMにもなっていたのが印象的でした。

制作過程では仕掛けがある本ならではの苦労があり、お盆も虫採りをあきらめ田舎の祖母の家に絵の具をもっていってずっと描きつづけたのを覚えています。

ただ自分の絵が表紙の図鑑が完成した時は「よかった」と思えました。

絵本をお作りになるときのこだわりは?

楽しんでもらえるようにと思って作っています。

最近になって、やっと書籍制作について勉強できてきたと感じているので、今後はもっともっとこだわった本の制作に着手したいと計画しています。

絵本を通じてお伝えになりたいことは?

虫が苦手な方から「虫の写真がダメでもじゅえき太郎の漫画なら虫を見られる」という声をたくさんいただいて…

これをきっかけに、まずは顔のあるゆるいタッチのイラストを楽しんでもらい、次に絵本のようなリアルな絵も楽しんでもらえたら、いつのまにか写真や実物の虫が平気になっていくのではないかなと思います。

虫が見られなかった方が虫を見られるようになる。そんな風にどんどん昆虫に興味を持ってもらう入口としての役割になれたらと思っています。

今後どのような絵本を描いていかれたいですか?

ひっそりと3年ほどの長い期間をかけて作ってみたいです。

ご趣味についてお聞かせください。

趣味は絵を描くことと、粘土でフィギュアを作ったり、動画制作をすることです。サッカーや昆虫観察も好きですね。

お好きな言葉を教えてください。

好きというか大きく響いたのは岡本太郎さんの「危険だと思う道は自分の行きたい道なのだ」という言葉です。

これをきっかけに漫画家という実力主義で不安定な世界に挑戦しようと決めました。

ファンの皆さんへメッセージをお願いします。

いつも漫画やイラスト(動画もかな?)を見てくださりありがとうございます!

これからも、いろいろな表現で進化していこうと決めていますので、ぜひお楽しみに!

まだまだ本当に未熟者ですので引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

じゅえき太郎先生、ありがとうございました!